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シスコ5Gショーケースにパナソニックと放送事業者向け実証実験環境を追加

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次世代の放送事業者向けデモ・開発環境基盤を構築

 シスコシステムズ(以下、シスコ)は12月15日、エンド・ツー・エンドの5Gネットワーク環境の実証実験が可能な「5Gショーケース」に、パナソニックのIT/IPプラットフォーム「KAIROS」を導入し、放送事業者のIP化技術支援を目的としたデモ・開発環境を同社と共同で構築し、運用を開始したことを発表した。

 昨今4K・8K放送の普及にともない、従来の番組制作システムにおいては増加する機材整備や運用負担が課題となっており、放送システムのIP化が求められている。現在放送用デジタルビデオ機器で使用される伝送規格であるSDIケーブルをIP・Ethernet化することによって、伝送量・速度が飛躍的に向上し、ケーブル量の削減と双方向通信が可能となる。また、ネットワークに接続されていれば映像・音声を含めたすべてのデータ伝送をどこからでも行うことができ、機材や設備といったリソースも柔軟に運用することができる。

 シスコ5Gショーケースでは、放送事業者がIP化対応に向けて、幅広いIP対応機器やソフトウェアを使用して接続互換性の検証やデモ、実証実験、また新しく対応機材やソフトウェア開発を行うための環境として、パナソニックの先進的な映像処理とオペレーションを可能にするライブ映像制作プラットフォーム「KAIROS」と、シスコが提供するSDIからIPへの移行を実現する「Cisco IP Fabric for Media」を組み合わせて構築している。
 リモート制作や映像・音声データ伝送では広帯域の回線を要するため、5G技術の活用が必要不可欠だ。放送事業者は、シスコ5Gショーケースを通じて、単一ベンダに留まらずマルチベンダでIP対応機器と組み合わせた映像制作・伝送の検証や開発を、エンド・ツー・エンドの環境で行うことが可能になる。
 シスコは「パナソニックと協力して海外を含め放送業界のIP化に向けた技術課題解決と新たな可能性創出に向けて支援していく」との方針を示している。

放送事業者のIP化技術支援を目的としたデモ・開発環境

 シスコ5Gショーケースは、2020年11月に、あらゆる業界のユーザやパートナー企業とともに、5Gの積極的な活用方法を創造・提案し、デジタル変革の推進を支援することを目的として開設された。2021年2月にローカル5Gの商用局免許を取得し、Wi-Fi6も含めたマルチアクセス環境も実現している。