アンリツの5G MIMO OTA自動車試験システムを、中国国家研究機関CICVが採用
DX/IoT/AI 無料アンリツは11月12日、MIM環境下におけるOTA自動車試験システムが、中国の国家研究機関であるChina Intelligent and Connected Vehicles (Beijing) Research Institute(以下、CICV)に採用されたことを発表した。
今回採用された試験システムは、General Test Systems(以下、GTS社)と共同開発したソリューションだという。
開発の背景
世界中で自動運転レベルが進む中、それを支える中核技術として5GやV2Xの技術開発が加速している。特に中国では、自動運転車を2025年までに量産化する「スマートカー・イノベーション発展戦略」を政府目標として掲げている。
この目標に伴い、中国では5G搭載車両が販売され、5Gエリアをカバーする基地局の設置数は2021年時点で100万に達した。加えて、販売前の車両認証試験では、5G通信技術の評価がますます適用されるようになり、実環境に近いMIMOマルチパス試験システムの導入が加速している。
CICVはICV技術をけん引する中国を代表する国家研究機関であり、先進運転支援システム(ADAS)や自動運転実現のための試験標準化を推進している。
試験システムの詳細
この試験システムは、モバイルデバイス、アンテナおよびOTA試験の分野で業界トップクラスの技術を持つGTSのOTA試験装置と、アンリツのラジオ コミュニケーション テストステーション MT8000A、およびラジオ コミュニケーション アナライザ MT8821Cを組み合わせて開発された。
MT8000A、MT8821Cが持つ高いRF性能により、3GPPで新たに認可されたRadiated Two-Stage(RTS)法によるMIMO環境下での試験を可能にした。自動運転車の開発に不可欠な放射性能、受信感度、受信EMI、マルチアンテナ性能、および実環境下での通信品質評価をサポートしている。
アンリツ IoTテストソリューション事業部長の小川幸治氏は「この技術革新は、コネクティッドカーの安全性と信頼性向上に向けたGTS社との長期的な共同開発の成果だ。5G技術が自動運転レベルを次のステージであるLevel-4、Level-5に引き上げる事は明らかだ。GTS社のOTAシステムと統合されたMT8000A、MT8821Cが先進の試験能力をもたらし、進化する自動車業界に将来を見据えた価値を提供する」とコメントを出している。
GTS社のChairmanであるYihong Qi氏は、「5GとV2X技術は、将来のICVに広く使用されていくだろう。当社は現技術とマーケティングの優位性を最大限に活かすため、アンリツとの協業を楽しみにしている。アンリツとGTS社は共に自動車通信システムの評価に必要なOTAソリューションを提供し、世界のインテリジェント自動車産業の技術開発を強くサポートしていく」とコメントを出している。