ルーキーレーシングの新型トランスポーターにシスコ最新の通信基盤を配備
DX/IoT/AI 無料モータースポーツ現場で移動型のオフィスを実証
ルーキーレーシングとシスコシステムズ(以下、シスコ)は11月10日、ルーキーレーシングが利用する新型トランスポーター(車両運搬とレース会場での運営基地)にシスコが提供した通信基盤を実装し稼働を開始したことを発表した。
車両のコネクティッド化に関する先端テクノロジーの実装と、それを活用したモビリティオフィスによる新しい働き方を提案するとともに、MaaS(Mobility as a Service)ビジネスのユースケースの1つである「移動型のオフィス」の実現に向けた実験的な取り組みを両社で体現する。
現在、ルーキーレーシング(ROOKIE Racing)は「SUPER GT」、「全日本スーパーフォーミュラ選手権」、「スーパー耐久シリーズ」、「TOYOTA GAZOO Racing Rally Challenge 2021」の4つのカテゴリに参戦している。モータースポーツの現場にいる時間が長くても、『場所にとらわれず働きたい』という要望があった。
新型トランスポーターに搭載したシスコ最新通信システムを通してサーキットにおいて複数の通信手段(有線、セルラー、衛星)を用いたネットワーク環境を提供し、モータースポーツの現場から得られる情報の共有や蓄積、リモート会議等を通じた遠隔コミュニケーションを通してもっといいクルマづくりを実現していくという。
新型トランスポーターには、最大40Gbpsのインターフェースを持つCisco Catalyst 9000シリーズスイッチ、Catalyst無線LAN、ISR4000シリーズルータ、SD-WAN、HyperFlex、Intersight、Meraki MGシリーズ、ThousandEyesなど最新のシスコのテクノロジーが実装された製品群を搭載している。シスコの持つ実績のあるネットワークソリューション(SD-WAN, LAN, 無線LAN)により、トランスポーター内外でのエンドツーエンドでの安定した品質のネットワーク、各部屋へのIP化された映像音声伝送、運用性を考慮したクラウド管理型インフラによる車内、インターネット、クラウド全般での可視化を実現、最先端のオフィスと同等レベルのIT環境の提供が可能になった。
シスコでは、2019年より、ネットワーキング、クラウド、コラボレーション、セキュリティといったシスコの最新テクノロジーを実装した大型特別車両Cisco Network Experience Vehicle(CNEV:シスコネットワーク体験車)を展開してきた。CNEVは、平時はシスコのテクノロジーを体験できるデモ用車両として、災害時には被災者の方々や各種支援団体等へ向けたネットワークサービスやコミュニケーション支援機能を提供する車両として活用され、今回の新型トランスポーターでの通信基盤構築においても参照されている。
新型トランスポーターは2021年4月から8月初旬にかけ構築を進め、8月21日からの2021 SUPER GT第3戦からテスト運用を開始し、通信機能の検証を行ってきた。
ルーキーレーシング 取締役の豊田大輔氏は「モータースポーツを起点としたもっといいクルマづくりを実現したい。世界で戦えるクルマ屋集団を作りたい。これがルーキーレーシングのビジョンだ。そして、モータースポーツ産業が、より魅力あるものになるために貢献していきたいと思っている。この度、シスコの協力により、新型トランスポーターで『場所にとらわれず働く』ことが可能になる。移動型のオフィスという新たな取り組みをルーキーレーシングの活動の中で実証していく。『不動産』から『可動産』へのシフトは、大きなトランジションです。技術革新により、可動産のオフィスでも十分に働ける環境なってきたことに感謝している。そして、もっともっとアウトプットを高めていくためのチャレンジをしていく。クルマづくりも人材育成も、大切なことは現場で得られるデータやノウハウを属人的なものにせず、チームの財産として蓄積し情報共有することだ。チームメンバーが安心して、タイムリーに、どこにいても情報にアクセスできる環境づくりも進めていきたいと考えている」とコメントを出している。
シスコシステムズ 代表執行役員社長の中川いち朗氏は「ルーキーレーシングと連携し、シスコの最新テクノロジーを搭載した新しいMaaSのショーケースを提示できることを大変光栄に思っている。コロナ禍で働き方は大きな転換点を迎えている。これからは、オフィスに限らず、あらゆる場所から生産性高く仕事を進めるハイブリッドワークが定着していく。シスコはこれからも日本の働き方改革を強力にご支援していく」とコメントを出している。