京セラとJMA Wirelessが、5Gミリ波バックホールシステム開発契約を締結
モバイル/無線 無料京セラとJMA Wireless(以下、JMA)は11月2日、5Gミリ波バックホールシステム開発契約を締結したことを発表した。
両社は、5Gシステムを構成する基地局において、ネットワークに接続されるDonor局とアクセスエリアを構成する中継Node局間のバックホール回線を5Gミリ波で接続するシステムの開発を共同で行う。
同システムは、光ファイバが利用できない地域や、施設コストが高くなる地域に5G基地局を迅速かつ効果的に配備することができる。また、システムを構成する全ての機器にO-RANインターフェースを採用しており、様々な5Gネットワークに接続することが可能だ。
開発背景
現在、5Gサービスが本格化していく中、5Gサービスエリアの迅速な構築が求められている。通常、5G基地局は、光ケーブルにて5Gネットワークと接続され、アクセスエリアを構築しているが、地方や郊外地域などでは、地形等の影響でラストワンマイルでの敷設工事に時間やコストがかかる場面が想定される。
同システムは、Donor局に京セラが有する多素子アンテナによるマルチビームフォーミング技術を採用することにより、5Gミリ波の無線バックホール回線で複数の中継Node局を同時接続し多セル化を実現している。また、回線の品質、多接続の要件についてはソフトバンクの知見を共有することで、国内外のニーズに対応できる製品となるように開発するという。京セラとJMAは「これにより、基地局設置工事の時間とコストを低減し5Gサービスエリアの迅速且つ安価な構築に貢献する」としている。
同システム開発において、京セラの長年培ってきた無線基地局開発技術と、JMAの革新的な仮想化ベースバンド技術XRANを組み合わせたシステムを共同開発することにより、早期の市場投入をめざすという。
システムの特長
設置工事の時間とコストの低減が可能:ラストワンマイルを無線接続できるため、基地局設置工事の時間とコスト等の低減が図れ、迅速かつ安価に5Gエリア環境を実現する。
小型・軽量・省電力の実現:長年にわたり培った無線基地局の開発技術を活かし、同システムにおいても、省スペース化や設置の簡易化、および省電力化を図る。
仮想化ベースバンド技術XRANの採用:Donor局と中継Node局間のマルチ同時接続は、京セラが有するマルチビームフォーミング技術とJMAの仮想化ベースバンド技術による無線制御を組み合わせる事により実現している。また、中継Node局についてもJMAの仮想化ベースバンド技術を採用しており、システムの柔軟な機能拡張が可能となっている。これにより、オペレーションコストの低減に貢献する。
各社の役割
京セラ:システム/無線機器の開発
JMA:XRANの開発
京セラとJMAは「ソフトバンクと協議を行いながら本開発を進めており、商用機でのフィールドトライアルについて、ソフトバンクのネットワークで行うなど、サポートをご検討いただいている。これらを経て2022年度中の市場投入をめざす」としている。
京セラの取締役 執行役員常務 ソリューションセグメント担当である伊奈 憲彦氏は「京セラが新たに取り組む通信インフラシステム事業において、JMAとの共同開発に合意出来たことをうれしく思っている。京セラは、この画期的な5Gミリ波バックホールシステムをソフトバンク及び様々なキャリア様に提供することで5Gインフラシステムの発展に貢献したいと考えている」とコメントを出している。
JMA Italyのマネージングディレクター兼 海外販売部門責任者であるRemo Ricci氏は「JMAは、京セラとの共同開発を実施することにより、この画期的な5Gミリ波バックホールシステムを、近い将来ソフトバンクのようなキャリアに提供できることを楽しみにしている」とコメントを出している。
ソフトバンクのモバイルネットワーク本部 シニアネットワークディレクターである酒井尚之氏は「ソフトバンクは、O-RANのインターフェースを介して5Gを展開するために京セラとJMAが新しいソリューションの開発締結を合意したことをうれしく思っている」とコメントを出している。