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IoT機器用メンテナンスフリー電源の体験ができる評価サンプルの提供を開始【フジクラ】

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 フジクラは8月23日、日本ガイシおよびe-peasと共同で、環境発電デバイスである色素増感太陽電池(DSSC:Dye-Sensitized Solar Cell)を用いてメンテナンスフリー化した電源を開発し、評価サンプルの提供を開始したことを発表した。

 フジクラは市場背景について「5GやLPWAN(Low-Power Wide-Area Network)などの通信技術の発展に伴い、IoT技術を用いた機器の利用が広がってきている。しかしながら従来型の電池を駆動用電源に用いる場合、点検・交換など電池メンテナンスの必要性から、運用の手間やコストが増大したりデータ収集が途切れたりしてしまうことが課題となっている」と指摘。
 この課題を解決するには、身の回りにある微小な光エネルギーを電気へと変換する光環境発電技術が有効だ。この技術を用いた光環境発電電源は、フジクラが開発したDSSCのような高効率の光発電素子に、電圧変換IC、蓄電素子を適切に組み合わせて設計した場合に、初めて高い性能を発揮する。しかし、これらのデバイスを用意し、電源回路を設計・製作するには手間と時間がかかるため、これまでユーザがこうした電源技術を評価する機会は限られていた。
 そこでフジクラは、今回、蓄電デバイスメーカである日本ガイシおよび電源ICメーカであるe-peasと協業し、フジクラのDSSCと、電圧変換IC・蓄電素子とを一体にした薄型、コンパクトで、且つ安定的にDC3Vを出力するメンテナンスフリー電源を開発した。

 フジクラは「既存の電池を本電源に置き換えることで、IoT機器の電池メンテナンス無く、途切れないデータ通信を長期動作させることが可能となり、よりきめ細やかな多点の遠隔センシングの実装を実現する」としており、「当社は、これまで有効活用することが難しかった光エネルギーを電力に変換するデバイスを組み込んだIoT機器の技術発展とご提供を進め、環境に優しい快適な社会実現に貢献していく」との方針を示している。

今回発表されたDSSCを用いたメンテナンスフリー電源を活用することで実現するメリット

  • IoT機器の電池交換のメンテナンスから解放される
  • 無線通信の信頼性向上に伴う消費電力の増加をカバー
  • 電源に余力が出ればIoT機器上での演算処理なども可能

評価サンプル外観