シスコが2021年度第4四半期および通期業績を発表
テレコム 無料 米国シスコ(以下:シスコ)は8月18日、2021年7月31日を期末とする2021年会計年度第4四半期と2021年会計年度通期の業績を発表した。(本抄訳は8月19日に日本法人が発表)
2021年会計年度第4四半期の売上高は131億ドル。また、同四半期の純利益は、一般会計基準(GAAP)ベースで30億ドル(1株当たり71セント)、non-GAAP ベースでは36億ドル(1株当たり84 セント)だった。
サマリー
- シスコは、第4四半期売上高131億ドル(前年同期比8%増)、年度売上高498億ドルという業績を達成し、2021年会計年度を好調のうちに締めくくった。
- すべての顧客市場と地域で受注増加率の2桁増を達成した。そのうち、製品受注数は前年比31%増と、過去10年で最高の伸び率となった。
- ソフトウェアとサブスクリプションを提供するビジネス変革の勢いが続き、ソフトウェアの第4四半期売上高は40億ドル(前年同期比6%増、サブスクリプション売上高は9%増)、年度売上高は150億ドル(前年比7%増、サブスクリプション売上高は15%増)となった。
シスコの会長兼CEOであるチャック・ロビンス(Chuck Robbins)氏は「お客様がアジリティとレジリエンシを求めて組織の近代化を進めるなか、シスコのビジネスは引き続き勢いを加速している。シスコのテクノロジーに対する需要は高く、第4四半期の製品受注増加率は過去10年間で最高を記録した。シスコは、強力なポートフォリオによって、お客様がデジタル トランスフォーメーションを加速し、ハイブリッド環境における成功を支援するための好位置につけている」とコメントを出している
また、シスコの CFO であるスコット・ヘレン(Scott Herren)氏は「売上高、non-GAAPベースの純利益、non-GAAP ベースの1株当たり利益のすべてで優れた結果をあげ、また営業活動によるキャッシュフローでは記録的な数字を記録し、きわめて良好な業績を達成することができた。今回の業績は、製品受注の大幅な増加をもたらす高い成長機会への投資の効果を反映したものとなっている。経常利益を重視するビジネスモデルへの転換を進めるなかで、現在、残存履行義務の残高は300億ドルを超えている」とコメントを出している。
2021年会計年度第4四半期決算概要
(特に記載のない限り、相対比率(%)はすべて前年比)
売上高:2021年会計年度第4四半期の総売上高は、8%増の131億ドルだった(製品売上高 10%増、サービス売上高 3% 増)。売上高を地域別に見ると、Americas(米国、カナダ、南アメリカ)が8%増、EMEA(欧州、中東、アフリカ)が6%増、APJC(アジアパシフィック、日本、中国)が13%増となっている。製品売上高を牽引したのは、インフラストラクチャ プラットフォームとセキュリティで、それぞれ13%と1%の増加となっている。なお、アプリケーションは1%の減少となった。
粗利益率:GAAPベースの総粗利益率、製品粗利益率、サービス粗利益率は、それぞれ63.6%、62.7%、66.2%となっている。これに対して、2020年会計年度第4四半期のGAAP ベースの粗利益率は、それぞれ 63.2%、61.2%、68.7%だった。
non-GAAP ベースの総粗利益率、製品粗利益率、サービス粗利益率はそれぞれ65.6%、65.0%、67.4%だった。これに対して、2020年会計年度第4四半期は65.0%、63.2%、69.8%だった。
地域別の総粗利益率は、Americasが66.2%、EMEAが65.0%、APJCが64.4%となっている。
営業経費:GAAPベースの営業経費は8%増の48億ドルで、売上高の36.3%を占めていた。non-GAAPベースの営業経費は8%増の42億ドルで、売上高の32.1%を占めた。
営業利益:GAAPベースの営業利益は10%増の36億ドル、営業利益率は27.2%だった。またnon-GAAPベースの営業利益は10%増の44億ドル、営業利益率は 33.5%だった。
所得税引当金:GAAPベースの税引当率は19.4%、non-GAAPベースの税引当率は19.3% となっている。
純利益と1株当たり利益:GAAPベースの純利益は14%増の30億ドル、1株当たりの利益は15%増の71セントだった。non-GAAPベースの純利益は5%増の36億ドル、1株当たりの利益は5%増の84セントだった。
営業活動によるキャッシュフロー:2021年会計年度第4四半期の営業活動によるキャッシュフローは、18%増の45億ドルだった。これに対して、2020年会計年度第4四半期は38億ドルだった。
2021年会計年度業績概要
売上高:総売上高は、1%増の498億ドルだった。
純利益と1株当たり利益:GAAPベースの純利益は6%減の106億ドル、1株当たりの利益は5%減の2ドル50セントだった。non-GAAPベースの純利益は136億ドル、1株当たりの利益は3ドル22セントと、いずれも2020年度から横ばいとなっている。
営業活動によるキャッシュフロー:2021 年会計年度の営業活動によるキャッシュフローは155億ドルと、2020年度から横ばいとなっている。
財務上の特記事項
現金及び現金等価資産ならびに投資総額:現金及び現金等価資産ならびに投資総額は、2021年会計年度第4四半期末時点で 245 億ドルだった。これに対して、2021年会計年度第3四半期末時点では236億ドル、2020年会計年度末時点では294億ドルだった。
残存履行義務:残存履行義務の総額は、9%増の309億ドルとなった。製品の残存履行義務は18%伸びており、これに対して、サービスの残存履行義務は3%の伸びとなっている。
繰延収益:繰延収益の総額は、8%増の222億ドルとなっている。製品繰延収益は19%増となっており、これに対して、サービス繰延収益は2%の伸びとなっている。
資本配分:2021年会計年度第4四半期、シスコは自社株買戻しと配当金を通して24億ドルを株主に還元した。1株当たり37セントの配当金(総額16億ドル)を申告し、支払った。また、株式買戻し計画に基づき、普通株約1,500万株を1株当たり平均53ドル30セントで買い戻した(買戻し総額7億9,100万ドル)。同プログラムでの株式買戻し承認額の残高は約79億ドルとなった。これらの株式の買い戻しには特に期限は設けられていない。
買収
2021年会計年度第4四半期中に、シスコは以下の買収を完了した。
Slido s.r.o.:オーディエンス インタラクション プラットフォームを提供する株式非公開企業。
Sedonasys Systems Ltd.:マルチベンダ、マルチドメインの自動化、およびSDNを可能にする製品を提供する株式非公開企業。
Kenna Security, Inc.:組織が機能横断的に連携してサイバーリスクを迅速に特定し、優先順位をつけ、修正できるようにする、リスクベースの脆弱性管理テクノロジを提供する、株式非公開のサイバーセキュリティ企業。
Involvio LLC:大学や短大における学生の体験、エンゲージメント、定着率の向上を支援する、教育にフォーカスした製品群を提供する株式非公開企業。
Socio Labs, Inc.:未来のハイブリッド イベントを強化する最新のイベント テクノロジ プラットフォームを提供する株式非公開企業。
2022年会計年度第1四半期の業績予測
シスコは、2022 年会計年度第1四半期の業績について次のような見通しを立てている。
売上高:前年同期比 7.5~9.5%増
non-GAAPベースの粗利益率:63.5~64.5%
non-GAAPベースの営業利益率:31.5~32.5%
non-GAAPベースの1株当たり利益:79~81セント
2022年会計年度第1四半期のGAAPベースの1株当たり利益は、61~66 セントになる見込み。
シスコは、2022年会計年度の業績について以下のような見通しを立てている。
売上高:前年比 5~7% 増
non-GAAPベースの1株当たり利益:3ドル38セント~3ドル45セント
2022年会計年度のGAAPベースの1株当たり利益は2ドル72セント~2ドル84セントになる見込み。
2022年会計年度第1四半期および2022年会計年度通期のガイダンスにおいては、有効税引当率が19%であるという想定のもと、GAAPベースとnon-GAAPベースの業績を予測している。