光通信の広帯域化に対応したレーザ光源製品を開発
モバイル/無線 無料5Gの実用化を支える中長距離光通信網の構築に貢献
古河電気工業(以下、古河電工)は6月7日、光通信の広帯域化にともなうレーザ光源製品として、SUPER Cバンド、SUPER Lバンド用の新型のMicro-ITLAと、それに対応して指定可能波長範囲を拡張したラマンアンプ励起用レーザダイオードモジュールを開発したと発表した。
背景
5Gの実用化において、中長距離光通信網の通信容量の増大は必要不可欠だ。しかしながら、高速化にともないチャンネル当たりに必要な帯域が従来の50GHz間隔から増大し、従来の帯域(Cバンド、Lバンド)では伝送可能なチャンネル数が減少してしまうため、全体の帯域を広げる(SUPER Cバンド、SUPER Lバンド)ことが検討されている。また高速伝送にともない伝送可能な距離が短くなるのを補うため、ラマン増幅器が使用されていく。
同社はこれまでCバンド、Lバンドに対応したレーザ光源製品として、Micro-ITLAおよびラマンアンプ励起用レーザダイオードモジュールを製品化してきたが、今回、広帯域に対応したSUPER Cバンド、SUPER Lバンド用の光源を開発した。これは、オールフォトニクスネットワークを支える基盤技術としても期待される。
内容
同社が20年以上培ってきたレーザ製造技術である結晶成長技術と精密半導体加工技術により、導波路設計の最適化で従来よりも低損失構造を実現し、Micro-ITLAとラマンアンプ励起用レーザダイオードモジュールでより広い波長ラインナップに対応した。どちらの製品群も業界トップレベルの光出力を達成している。
多チャンネルMicro-ITLA
広帯域化にともないコヒーレント光通信用波長可変光源のチャンネル数の増加が必要とされている。これに対応するため、50GHz間隔での対応波長範囲を96chから120ch対応に増加させたMicro-ITLAを開発した。これにより対応可能な帯域が広がり、従来のCバンド:191.300~196.100THz(4.8THz幅)からSUPER Cバンド:190.675~196.675THz(6THz幅)となる。同様に今後の更なる広帯域化に対応するために、従来のLバンド:186.350~190.700THz(4.35THz幅)に対してSUPER Lバンド:184.350~190.500THz(6.15THz幅)にも対応可能になる。
ラマンアンプ励起用レーザダイオードモジュール
広帯域化にともなってラマン増幅器でも信号光の100nm短波側に励起光を必要とするため、対応する励起光源の波長範囲も広げる必要がある。今回開発した励起光源では、400/500/600mW品において指定できる波長範囲が1420~1510nmから1330nm~1520nmに大幅に広がった。
古河電工は「今後も高性能なレーザ光源製品の研究開発による情報通信の発展を支え、安全・安心・快適な生活の実現に貢献していく」との考えを示している。