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データセンタの配線作業負荷軽減に貢献する光ファイバ用多心コネクタAirEBを開発【住友電工】

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AirEBの外観

 住友電気工業(以下、住友電工)は6月1日、光コネクタ「AirEB」を新たに開発したと発表した。光ファイバ用のコネクタに、光路を拡大するレンズ構造を採用したことで、粉塵・埃による光損失を軽減し、光配線作業時間の大幅な削減に貢献する。

 クラウドの普及、5G、AIの商用化などによるデータトラフィックの激増に伴い、老朽化や能力不足による既存データセンタの刷新や新規施設の建設数が飛躍的に増えている。データセンタ内の光配線は高密度実装を実現するため、より複雑化し、新規配線時のみならず、メンテナンスにも多くの作業時間と費用がかかる傾向にある。住友電工はその課題を解決するべく、データセンタ事業者のより効率的な光配線作業へ寄与する光コネクタを開発したという。

 光コネクタを介して接続された光ファイバ端面の間に、各種機器や作業者の身体から発生する粉塵や埃などの小さな異物が付着するだけで光の損失が発生する。光ファイバの接続端面に付着した異物を取り除くため、接続前のみならず、稼働後も頻繁に清掃作業を行う必要があり、多数の光接続を実施する場合には、多大な作業時間や費用がかかっていた。

AirEBと光路拡大のイメージ

 AirEBは、コネクタ先端部に備えた特殊なレンズによって光路を拡大させることで、異物付着による光損失の増大を軽減できる。さらに、数百ミクロンの間隙を介して接続するエアギャップ技術や、同社独自の精密位置合わせ構造の組み合わせにより、データセンタ内での光配線作業時間・費用の大幅な削減を実現する。

AirEBの特長

特殊なレンズ構造・エアギャップ技術の採用により、頻繁な清掃が不要、作業性も改善

  • 光路が拡大されるため、粉塵・埃による光損失の増大が軽減される
  • 粉塵・埃がコネクタ端面に固着しないため、清掃が簡単
  • 強い嵌合力が不要なため、着脱の作業性が向上

独自の位置合わせ構造採用によるコスト低減に貢献

  • コネクタにMALE/FEMALEの区別がないため、部品在庫の種類を減らせる
  • 構成部品が少ないため、組み立て作業の削減が可能

光路を直線配置したシンプルな設計により、大量加工が可能

  • 特殊な設備を使わずにアセンブリができる
  • 光路が直線のため、アライメントの基準が明確
  • ファイバ端面の研磨が不要のため、アセンブリ時間が短縮

 住友電工は「ますます高度化が求められる光通信分野において、高品質、高性能な技術を提供し続けることにより、安心・安定の情報通信ネットワークの構築を支えていく」との考えを示している。