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Wi-Fiの電波で発電するスピントロニクス技術を開発【東北大学】

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 東北大学は5月21日、Wi-Fiに用いられる2.4GHz帯の電波によって発電する技術を、東北大学電気通信研究所の深見俊輔教授、大野英男教授(現東北大学総長)らがシンガポール国立大学との共同研究により開発したと発表した。(情報提供:PR Newswire)
 身の回りにある電磁波を電力源として有効活用でき、電池なしで駆動するワイヤレス端末などの開発につながる。

 電子には電荷だけでなく、スピンという磁石の性質がある。これら2つの性質が同時に現れる現象を解明し、工学に応用する科学技術をスピントロニクスという。深見教授らは、スピントロニクスの原理を利用した素子、磁気トンネル接合に注目した。
 磁気トンネル接合は、ごく薄い磁石の層で絶縁体の層をサンドイッチした構造をもつ。深見教授らは磁石の層の厚さと形状を精密に設計することで、微弱な電磁波からこれまでの素子を凌ぐ高い電力を得ることに成功した。
 実験では、改良した磁気トンネル接合を8個直列に接続した。2.4GHzの電磁波で発電し、コンデンサーを5秒間充電すると、LEDを1分間光らせることができた。
 身の回りにあるエネルギーを回収し、発電する技術は環境発電技術(エネルギーハーベスティング)と呼ばれ、持続可能なIoT社会の実現に向けて注目を集めている。
 この研究成果は2021年5月18日に英国の科学誌「Nature Communications」に掲載された。

今回の研究で用いた磁気トンネル接合と原理実証実験の模式図