TRIPLE-1がローカル5G市場に新規参入
DX/IoT/AI 無料TRIPLE-1は5月20日、ミリ波帯およびSub-6帯に対応しStand Alone方式をサポートする、ローカル5G向け新製品(CU/DU・RU)「TOKI」シリーズを発表した。今秋より初回量産品の販売・提供を開始する予定だという。(情報提供:@Press)
総務省資料には、今後5Gネットワークが国内製造業に対し、13.4兆円(オペレーション最適化:7.5兆円、在庫効率化:1.2兆円、人件費効率化:4.7兆円)もの経済効果をもたらすという試算もある。ローカル5Gは、製造業はもちろん、農林水産業、交通・物流、建設、医療、エンタメ、防犯・防災など様々な分野において大きな効果が期待されている。
TRIPLE-1はローカル5G市場への新規参入に関して「統計(※)によると、コロナ禍の世界においては、10年間分のEコマースデリバリーがたったの8週間で消費され、2週間で2.5億人もの生徒がオンライン学習に取り組んだとされている。他にも遠隔診療やビデオストリーミングなど、DXの需要は様々な分野で高まっている。このような社会ニーズの変化は、テクノロジーと人々を繋ぐ手段である“通信”の重要性を、改めて浮き彫りにしている。そうした中でTRIPLE-1は、ローカル5Gが社会にもたらすメリットを誰もが確信できるように、インパクトのある成功事例を創り、国内だけでなくグローバルに対しても発信していく」との考えを示している。
※出典:マッキンゼー・アンド・カンパニー社「Meet the Next Normal Consumer」
ローカル5G向けのエコシステム構築『TOKI エコシステムプログラム』
現在、TOKIは工事設計認証中で、初回量産品の販売・提供開始は、今秋を見込んでいる。また今後も、ローカル5Gコアや端末など、ラインナップを順次拡大していく予定だ。
さらに、一次産業、製造、物流、医療、エンタメといった各産業に対しアドバンテージを持つ有力なパートナー先とのエコシステムの構築に最注力しており、協力・協業を推し進めるための『TOKI エコシステムプログラム』も開設している。
ハイブリッド事業が秘めるポテンシャルを見据えた、今後の事業展開
TRIPLE-1は、2016年の創業以来、ビットコイン(Bitcoin)などの暗号通貨マイニングやAI向けの最先端半導体開発を通じて、自社独自の「コンピューティング」技術を磨いてきた。一方で、コンピューティングを「エネルギー」や「通信」事業とハイブリッドに掛け合わせることの重要性も認識してきたという。
マイニング×エネルギー「エネルギーを資産に換える」
大規模な電力発電事業者にとって、大容量の電気エネルギーを保存、貯蓄するための選択肢は、蓄電池などに限られていた。一方で、ビットコインなどの「暗号通貨マイニング」では、コンピュータによる膨大な計算処理と大量の電気エネルギーを必要とする。そこで、マイニング用のコンピューティングデバイスを大量の電気エネルギーで稼働させることによって、本来は保存や貯蓄の選択肢が限られてきた「電気エネルギー」を、暗号通貨という「資産」に変換し、その「資産」を保存・貯蓄するという発想も生まれた。
TRIPLE-1は「まだ自社デバイスの開発段階であった2018年当初より、国内の大規模なエネルギー事業者との連携を深め、現在は複数のプロジェクトを進めている」という。
AI×通信「AI同士の連携がカギとなる社会」
例えば、自動運転が当たり前となる社会を創るためには、自動車単体の走行データだけでなく、周辺環境や他の自動車からの膨大なビッグデータもリアルタイムに処理しなければならない。総合的な状況から運転を制御し、安全性を確保する必要があるからだ。そのためには、高性能なAIデバイスはもちろん、複数のAIを繋ぎ合わせることができる、強力かつ安全な通信インフラが不可欠となる。
TRIPLE-1は「“AI×通信”が秘めるポテンシャルに着目しており、2019年より通信デバイスに関する研究開発を外部パートナーとも連携しながら進めてきた。今後は自社のコア技術であるコンピューティングに“エネルギー”や“通信”事業をハイブリッドに掛け合わせ、モノとヒトが複雑かつリアルタイムに繋がり合うこれからのデジタル社会における革新的なソリューションを創出していく」との意向を示している。
ローカル5G市場規模
全世界におけるローカル5Gの基地局数は、2020年は1,945基だったが、2027年までに156万基という規模に増加すると言われている(出典:Rethink Technology Research社 「RAN Research」)。また、国内におけるローカル5G関連の市場規模は、2025年に約3,000億円、2030年には約1.3兆円規模にまで拡大するという予測もある(出典:JEITA注目分野に関する動向調査)。
TRIPLE-1は「昨年12月、総務省によりローカル5Gの拡張周波数帯についても免許申請の受け付けが開始された。ローカル5G用の全周波数帯での免許申請が可能となったこともあり、今後さらなる市場活性化が見込まれている」との見解を示している。