NEC、ミリ波周波数帯に分散MIMOを適用し、実際のオフィス環境下で3倍の同時接続数・伝送容量を実現
DX/IoT/AI 無料利便性の高い5Gミリ波で安定した接続環境を構築
NECは1月25日、実際のオフィス環境において、ミリ波周波数帯の28GHzを用いた分散MIMOによる同時多数端末接続と伝送容量向上を実証したと発表した。分散MIMOを用いない場合に比べ、遮蔽物に対する劣化も少なく約3倍の同時接続数・伝送容量を達成したという。
NECは「オフィス環境下でミリ波周波数帯に分散MIMOを適用した実証は業界で初めてであり、今後、同時多数接続が可能な利便性の高い5G環境の構築へつながることが期待できる」としている。
サブ6周波数帯とミリ波周波数帯を用いる5Gでは、4Gと比較して10倍以上の大容量・高スループット、低遅延、多数接続などのネットワーク性能とそれを活かしたサービスが期待されており、今年から国内で導入が始まっている。
サブ6周波数帯ではミリ波周波数帯と比べ使用できる周波数帯域が狭いため、大容量化のためにMassive-MIMOを導入し同時接続端末数の拡大が図られている。同様に、ミリ波周波数帯についても、広帯域伝送にMassive-MIMOを適用することで更なる大容量化と同時多数接続が可能であり、屋内やスタジアム観客席等の高い端末密度の中、各端末が高い伝送容量を必要とする用途に有効と考えられている。
しかし、ミリ波周波数帯では波長が短く反射や遮蔽による減衰が大きい等の電波の特性のため、遮蔽物等による影響を受けやすいとともに、空間多重が行い難く、Massive-MIMOを適用する際の課題となっている。
NECは、これまでもデジタルビームフォーミング技術で業界をリードし、サブ6周波数帯でMassive-MIMOを製品化し、ミリ波周波数帯で分散配置したアンテナ素子間のデジタル協調技術を開発し屋内モバイル通信の課題である伝搬路の遮蔽や回折などを解決する検証を行ってきた。
これらを背景に、今回、28GHz帯基地局の無線子局(RU:Radio Unit)において、分散MIMOによるオフィス環境での伝搬・伝送実験を行い、遮蔽物のある環境での安定伝送と複数端末同時接続と大容量化を実証した。具体的には、分散配置したアンテナ間の位相・振幅の校正や協調が難しいという課題に対し、位相・振幅を校正する技術を開発し、有効性を確認した。結果、分散MIMOを用いない場合に比べ、約3倍の同時接続数・伝送容量を達成したという。
NECは「引き続き、オフィスのように障害物が原因でミリ波の安定通信が難しく、かつ高密度に端末が配置されている環境において、安定かつ高伝送速度を可能とする5G環境の実証を重ねていく。ミリ波周波数を用いたモバイルアクセスの普及と発展に貢献していく」とコメントを出している。