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5Gによる放送局・中継局間を想定した放送TS信号の伝送実証実験に成功【秋田テレビ、ミハル通信、ドコモ】

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 秋田テレビ、ミハル通信、NTTドコモ東北支社(以下、ドコモ)は12月8日、5Gによる放送局(本社)・中継局間を想定した映像・音声・データ(以下、放送TS)の伝送に関する実証実験を12月3日に実施し、成功したと発表した。

 この実証実験は秋田県内初の5Gによる実証実験(※)となり、ドコモでは放送局(本社)から中継局へ放送TSを5Gで伝送しながら、かつ、中継局から5G経路で送り返すことで伝搬された映像の正常性を確認できた日本初の実証実験になる。
(※2020年12月1日現在。ドコモ調べ)

 現在、秋田テレビでは、放送局(本社)の送出装置から出力される地上デジタル放送TSの中継局への伝送には、放送局(本社)から送信所(親局)まで放送用の無線(マイクロ波)を使用し、送信所から中継局まではマイクロ波または放送波で中継している。
 しかし、送信所から中継局へ放送TSを伝送する際に、無線伝送路上で電波強度の変化(フェージング)等が発生した場合、中継局で受信した信号に乱れが生じ、視聴者に乱れた映像が到達する可能性がある。
 また、中継局の送信した映像の正常性確認を行う際には、中継局から放送局(本社)へ映像を返送することができないため、中継局内で映像を確認するか、または中継局放送エリア内で受信映像を確認する必要がある。
 このような課題を踏まえ、本実証実験では、マイクロ波または放送波でフェージング等が発生した際の回避手段として、ミハル通信の提供する地デジIP伝送システム、ドコモの提供する5G及びクラウドダイレクトを活用した検証が実施された。
 また今回、放送局(本社)から中継局へ放送TSを伝送するだけではなく、中継局が送信した電波を放送局(本社)へ送り返し、放送局(本社)側で中継局の送信機から送信している映像・音声・データを確認できるかについてもあわせて検証された。

 実証実験の結果、放送局(本社)から中継局への放送TSの伝送について、5Gを用いても安定して伝送でき、かつ既存中継回線とタイミングを一致させることができるため、中継回線の冗長化になり得ることを確認したという。
 また同時に、中継局の送信機で送信した電波を放送局(本社)へ送り返し、放送局(本社)側で高品質な状態で映像・音声・データを視聴できることも確認された。
 これにより、地上デジタル放送の中継局までの中継回線及び監視回線として、大容量、低遅延を特徴とした5Gを活用し、地上デジタル放送のSFN(同一周波数ネットワーク)を成立させることができ、かつ同一ネットワーク上で中継局の送信波の映像監視が可能であることの技術検証を行うことができた。

 三社は「本実証実験の成果を踏まえ、今後も各社は、5Gを放送技術に活用するなど先端技術の発展に引き続き取り組んでいく」としている。

実証実験イメージ