富士通は12月1日、KDDIが構築する5Gの商用サービス向けの仮想化基地局に、同社が開発するオープンRAN対応5G RUが選定され、2021年度下期より提供を開始すると発表した。

無線装置の特長

　この5G RUは、CU/DUとの通信を担うフロントホールのインターフェースに、O-RAN標準仕様を採用している。これにより、同仕様に準拠する異なるベンダ間の基地局制御装置との接続ができ、オープンRAN構成の柔軟なネットワーク構築が可能となる。
また、高効率かつ広帯域の電力増幅技術を活用した無線装置の小型化と低消費電力化を実現し、5Gにおけるサービス提供の加速を図るとともに、従来のMIMOより多くのアンテナ素子を搭載することで、ビームフォーミングや空間多重の効果を高め、人が多く集まる場所などでの快適なモバイル通信に貢献する。

　KDDI 執行役員の要海敏和氏は「KDDIは、5Gによるエンド・ツー・エンドネットワークスライシングの柔軟な提供を目指している。O-RAN（オープンインタフェース）に準拠した富士通様の無線装置は、この計画の実現に大きく貢献いただけるものと期待している。KDDIは、“社会の持続的な成長に貢献する会社”として、快適かつ信頼性の高い通信サービスの提供を推進し、産業の高度化および新しい体験価値を創造していく」とコメントを出している。

今後の展開

　富士通は今後について「当社は長年培ってきた無線技術をベースに最先端の技術を適用した、無線装置の提供を通じて、グローバルなO-RANの普及に貢献するとともに、KDDI様の高度な5G商用サービスの展開を支援していく。また、これらの取り組みを通じて、5Gを活用したスマート工場、自動運転など様々なユースケースにおいて求められる通信要件に対応していく」との考えを示している。