シスコ、GIGAスクール構想実現に向け、セキュリティサービス「Cisco Umbrella」を奈良市教育委員会に導入
テレコム 無料最適なインターネットセキュリティを確保し、遠隔学習を支援
シスコシステムズ(以下、シスコ)は5月26日、奈良市のGIGAスクール構想実現に向けて、奈良市教育委員会に、高度化と多様化をもたらすクラウド型セキュリティサービス「Cisco Umbrella」を導入し5月から稼働開始したことを発表した。
導入の背景
- 文部科学省からの端末配備と児童生徒の自宅学習可能な環境整備など、対応を加速させる方針を受け、自宅からのインターネットアクセスにおいてもセキュリティ対策が可能なソリューションが必要
- 1人1台端末配備により通信が膨大となり、既存のProxyサーバの過負荷が懸念され、Proxyサーバの代替としてパフォーマンスを担保できるセキュリティ対策が必須
- 新型コロナウイルス(COVID-19)による休校措置の対応策として遠隔授業を開始するために早急な整備が求められており、導入によるネットワーク環境の変更が少なく、低コストで迅速に利用を開始できることが必須
- 校内や自宅に関わらず、同一のセキュリティポリシーによって「有害なサイトへのアクセス制御」と「児童生徒に不適切なコンテンツのフィルタリング」できることが重要
- ライセンス体系が「教職員分のライセンスによって児童生徒分は無償」という教育機関向けパッケージ提供が導入決定の一要因
「Cisco Umbrella」 概要と特長
クラウド型セキュリティサービスの「Cisco Umbrella」は、危険な有害サイトへの接続やコンテンツ フィルタリングなどを「DNS(ドメインネームシステム)」層でブロックする、新しいセキュリティソリューションだ。インターネット上では、個々の端末が保有する IP アドレスの羅列を用いて通信を行なっており、この操作は人間が扱うには不向きなため、DNSがこうした数字をURLのような意味のある文字列に変換する「名前解決」を実行する。「Cisco Umbrella」は、この仕組みを利用して、様々な脅威からユーザを防御する。 「Cisco Umbrella」は1日に2,100億もの DNS リクエストを収集し、その統計/分析情報から特定のドメイン名が危険かどうか判定。
「Cisco Umbrella」 は、クラウドサービスで提供されるため、サーバなどの機材を用意したり、ソフトウェアを保守したりする手間がかからないソリューションだ。また同時に多くの端末からのインターネットアクセスにおいてプロキシのように過負荷になるポイントがなく、接続速度やデバイスのパフォーマンスに影響を与えず、脅威を自動的にブロックするため、すべての児童生徒が安全にインターネットを利用し、学習を行うことができる。
「Cisco Umbrella」展開イメージ
- センター集約型構成の場合における一極集中型セキュリティ対策によるプロキシ過負荷の問題を解決
- 学校から直接インターネット接続へ (ローカルブレイクアウト) の場合におけるセキュリティ対策を実現
- 自宅学習用の持ち帰り端末へのセキュリティ対策
「Cisco Umbrella」 は、どのようなネットワーク構成及び端末であっても児童生徒の居場所を問わず、最適なセキュリティポリシーを適用し、インターネットアクセスを保護する。
「Cisco Umbrella」提供形態
「GIGA スクール構想」向けとして、特別オファーと教育機関向けパッケージを提供。
GIGA スクール向け提供例(UMB-SEC-SUB)
・児童生徒の端末台数 x 1/10
・児童生徒の端末台数に基づくライセンス
・GIGA スクール構想で配備した児童生徒の端末を対象
例: 児童生徒の端末数が1,000台の場合、100ライセンス (UMB-DNS-ESS-K9) を発行
文教向け通常パッケージ(UMB-EDU-SUB)
・教職員数 (児童生徒は無償)
・教職員数に基づくライセンス
・教職員及び児童生徒、全ての端末を対象
例: 教職員100名、児童生徒1,000名の場合、100ライセンス (UMB-EDU-K9) を発行
シスコは「日本政府が推進するGIGA スクール構想に向け、安心・安全なネットワーク環境の提供を通して、『主体的・対話的で深い学び』の実現への取り組みを推進していく」としている。
奈良市教育委員会事務局 学校教育部学校教育課 情報教育係 係長の谷正友氏は「新型コロナウイルス(COVID-19)による休業措置の対応策として、奈良市で開始した家庭学習ICT環境支援事業(Wi-Fiルータの学校既設のタブレット端末の貸出)の実施にあたり、家庭環境においても安全・安心なインターネット利用が不可欠と考えた。短期間のうちにスタートアップができ、GIGAスクール構想事業と連携可能なサービスとして採用した。5/13現在、小学校5年生から中学校3年生の5学年の必要な家庭に対して、機器の貸出を行い、クラウドサービスを活用した朝の会をはじめ、授業に準じた実践が市内21中学校、43小学校で行われている」とコメントを出している。