次世代型病院の実現に向けた、新たな運用・管理システムの実証実験を開始【大成建設、名古屋大学医学部附属病院メディカルITセンター、新城市民病院、ドコモ、シスコ】
DX/IoT/AI 無料IoTを活用し、医療現場の業務効率化と安全・サービスを向上
大成建設、名古屋大学医学部附属病院メディカルITセンター、新城市民病院、NTTドコモ(以下、ドコモ)、シスコシステムズ(以下、シスコ)は3月31日、共同で、次世代型病院(スマートホスピタル構想)の実現に向けた新たな運用・管理システムの実証実験を開始したと発表した。
急速な少子高齢化が進み、高齢患者が増加する中、医療従事者不足が深刻化し、医療現場における業務効率化、医療の安全や患者へのサービス向上が急務となっている。医療施設では、特に夜間は限られた人数で対応せざるを得ない状況であり、患者の無断外出や、目の届かない場所での転倒といった重大事故につながるリスクを、未然に防止する施策が必要となっている。
そこで各社は、病院内の業務効率化と医療の安全・サービス向上を目的とし、IoTを活用して病院スタッフや患者の位置情報、患者の身体状況などを可視化・閲覧できる新たな運用・管理システムの実証実験を開始した。
同システムに関する実証実験概要、主な機能と期待される効果は以下のとおり。
実証実験概要
実証期間:2019年12月~2020年9月終了予定
実証場所:新城市民病院(愛知県新城市)の一部病棟特定フロア及び1階出入口付近
実証項目:
- 病院内にメッシュWi-Fiネットワーク、IoTゲートウェイ機器(シスコ提供)を設置し、病院スタッフ及び患者に装着したリストバンド型ウェアラブル端末やICタグなどから送信されるBLE(Bluetooth Low Energy:低消費電力型無線通信)通信電波を、ネットワークルータを介して携帯電話回線(ドコモ提供)によりクラウド上のプラットフォームなどに各種データを集約・蓄積する環境を構築する。
- 集約・蓄積した病院スタッフ及び患者の位置情報、心拍数・歩数等のバイタル。
主な機能
病院スタッフ、患者の位置情報から所在や動線を可視化
- ウェアラブルデバイスから受信した電波を演算し、より正確な現在位置を推定
- 指定した日付や時間帯での移動軌跡を表示
- 滞在場所や時間を対象者ごとに区分した色のグラデーションで表示
患者のバイタルデータから身体状態を可視化
- 心拍数、歩数、活動量、活動状態(転倒、歩行、睡眠等)の履歴を表示
- 指定時間、日付、期間単位での表示
- 他者との活動状態の比較表示
端末を問わず、いつ、どこからでも情報の閲覧・通知が可能
- WEBアプリケーションによりインターネットから閲覧可能
- PCほか、スマートフォン、タブレット(いずれもiOS)で閲覧可能
- 患者の情報(転倒、外出、心拍異常検知等)を病院スタッフに通知
今後、各社は、スマートホスピタル構想の実現に向け、病院内での様々なICT技術の普及・活用を想定し、独自のIoTプラットフォームの開発を進め、病院業務(外来・入院・院内物流等)の効率化のため、さらなる技術開発に取り組んでいく。また、これらの実証実験で得られたノウハウを基に、病院スタッフ及び患者のニーズを組み込み、より実用的な運用・管理システムの構築を目指していくとしている。