農業経営体向け水田水管理IoTシステムを販売開始【IIJ】
DX/IoT/AI 無料スマート農業実証実験をもとに開発したLoRaWAN対応の無線センサと必要な通信機器およびアプリケーションをパッケージにしたスターターキットを提供
IIJは12月25日、農業IoTへの取り組みの一環として、水田の水管理を省力化する水田水管理IoTシステムを開発し、主に大規模な水田を保有する農家や農業共同経営体(JA)を対象に販売を開始すると発表した。
同システムは、水田の水位と水温を測定するIoTセンサと、取得したデータを無線経由でクラウドに蓄積し遠隔からスマートフォンで確認できる通信機器とアプリをパッケージにしたスターターキット「水管理パックS」として、住友商事が販売元となり、今回、受注受付を開始し、2020年3月より提供するという。同システムを利用することで、自宅にいながらスマートフォンで圃場の状況を把握でき、水田の水管理にかかる労働負荷を大幅に軽減できる。
開発の背景
日本の農業は、平均年齢が65歳を超える一方、経営の大規模化が進み、農作業の効率化、省力化は大きな課題となっている。その中で農林水産省を中心として、ICT技術を活用する「スマート農業」を普及させる取り組みが全国各地で急速に進みつつあり、2019年から始まった「スマート農業加速化実証プロジェクト」では、全国69地区において、先端技術を活用し、生産から出荷までを一貫して管理する体系を確立するべく、官民一体となった取り組みが進んでいる。
IIJでは、2017年から農研機構生研支援センター「革新的技術開発・緊急展開事業(うち経営体強化プロジェクト)」の支援を受け、水田の水管理の省力化を可能とする低コストなICT水管理システムの開発を進めてきた。静岡県磐田市、袋井市での3年間の実証実験を経て、今回、長距離(約1~2km)の通信を可能とする無線方式LoRaWANに対応した安価な水田センサの開発に成功したという。
IoTセンサ、通信機器、アプリ、通信料を一体化したスターターキット
今回提供されるスターターキットには、次の4点が含まれる。
- 水田の水位と水温を測定するLoRaWAN®対応のIoTセンサ(10台)
- センサからデータを収集しクラウドに送信する無線基地局(1台)
- スマートフォンでデータを閲覧するための専用アプリケーション(3年間の利用料)
- センサとデータを集積するクラウド間の通信料(3年分)
スターターキット名:水管理パックS
提供物品:
水田センサ×10台
水位と水温が30分間隔で測定でき、単三電池2本で1シーズン(約半年間)稼働。
※単三電池2本は製品に付属。設置用のパイプはユーザ自身が用意。
屋内設置型無線基地局×1台
LoRaWAN対応屋内型基地局 Kiwi Technology製「TLG-3901BLV2」
LoRaW屋外に設置を希望する場合は、設置方法によって別途費用が発生。電源(AC100V)の確保が必要となる。