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業界初 WLAN測定器IEEE 802.11axで、すべてのデータレートでの信号品質評価が可能【アンリツ】

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ネットワークモードによりIEEE 802.11axの測定課題を解決

MT8862A

 アンリツは12月23日、ワイヤレスコネクティビティテストセット MT8862Aの機能を拡充し、無線LAN(WLAN)の最新規格であるIEEE 802.11axに対応したオプションを開発したと発表した。
 対象市場はスマートフォン、IoT製品、スマート家電、自動車など WLAN搭載機器ベンダ。用途はWLAN搭載機器のRF送受信特性試験。

 MT8862Aは、WLAN機能を搭載した通信機器のRF評価用測定器であり、IEEE 802.11a/b/g/n/acに対応している。さらに今回IEEE 802.11axに対応したことにより、MT8862Aは、ネットワークモードにて、現在使用されている主要なWLAN規格のすべてのデータレートで信号品質評価が可能な、業界初の測定器となった。
 同オプションを使用することにより、IEEE 802.11ax 搭載機器のRF評価を、ダイレクトモード、ネットワークモード双方で行える。ダイレクトモードによる短時間での評価に加え、ネットワークモードでは通信プロトコルを使用した実動作の状態で評価が行える。
 また、IEEE 802.11axでは、Single User方式とMulti User方式という2つの伝送方式が用いられる。Single Userは従来の規格と同じ伝送方式(OFDM)でIEEE 802.11axのベースとなるモードだ。WLANの信号品質はデータレートごとに特性が異なるため、データレートごとでの信号評価が非常に重要だ。MT8862Aは11ax Single Userのデータレート含めて、主要なWLAN規格のすべてのデータレートで制御可能な唯一の測定器となる。
 アンリツは「本オプションの開発により、IEEE 802.11ax搭載機器の品質向上に貢献する」としている。

開発の背景

 IoTの普及にともない、スマートフォンなどの携帯端末に加えて、プリンタやテレビなどの家電、車載機器、産業機器、センサー機器などでも急速にWLAN機能の搭載が進展している。
 その一方、多数のWLAN機器が密集した環境下では、WLANを接続するための空間リソースが不足し、つながりにくくなるという課題が発生している。
 この課題に対処するために、複数のWLAN機器から一つのアクセスポイントへの同時通信や通信効率向上などにより、空間リソース不足を解決するIEEE 802.11axの規格化が進んでいる。
 IEEE 802.11axは2020年11月に標準化完了予定だが、すでに5G搭載のスマートフォンやPC市場でも採用が始まっており、今後主要なWLAN規格となることが見込まれている。
 これにともない、IEEE 802.11ax搭載機器の送受信性能を評価できる測定器の需要が急速に高まっている。
 そこでアンリツは、MT8862Aの機能を拡充し、IEEE 802.11axに対応したWLAN機器の評価を可能としたという。

製品概要

 ワイヤレスコネクティビティテストセット MT8862Aは、WLAN搭載機器のRF評価用測定器。
 アンリツの特許技術により、業界で唯一、現在使用されている主要なWLAN規格であるIEEE 802.11ac/axのすべてのデータレートでRF評価が行える。ネットワークモードとダイレクトモードに対応していることにより、WLAN搭載機器のRF送受信特性(送信電力、変調精度、受信感度など)のための測定環境を試験用途に合わせ、フレキシブルに提供する。

主な特長

無線接続による簡単で正確な測定が可能:ネットワークモードでは、無線接続によるWLAN搭載機器の評価が可能だ。これにより、ダイレクトモードでの評価で必要となる特殊コマンドによる搭載機器の制御や、制御線接続といった煩雑な作業が不要となるとともに、実動作の状態で評価できる。

ウェブブラウザからセットアップ完了:MT8862Aは、制御用PCとイーサネットケーブルで接続して操作する。PC上のウェブブラウザからのアクセスで測定画面が表示され、ソフトウェアやドライバのインストールなど測定環境の構築作業が不要だ。また、MT8862Aと制御用PCを同一ネットワーク内に接続すすることにより、リモート制御も行える。