三菱商事とNTT、「産業DX推進」に関する業務提携に合意
DX/IoT/AI 無料 三菱商事とNTTは12月20日、DXによる産業バリューチェーンの変革と新たな価値創出を目的とした業務提携に合意したと発表した。
三菱商事においては対象産業を跨る横断的なICT企業との業務提携は初の取組みであると同時に、NTTにおいてもB2B2Xビジネスにおける総合商社との広範囲での業務提携は初の取組みとなる。
背景と目的
三菱商事は「中期経営戦略2021発表した通り、今年よりCDO(チーフ・デジタル・オフィサー)を中心に、10有る営業グループと連携しながら、急激に進むDXの動きに対応し、新たなビジネスモデル構築の可能性を検討してきた。特に事業ポートフォリオの最適化に向け、サービス領域(通信・データ資源、物流・リース、Eコマース、インターネットサービス等)、および川下領域(生活、モビリティ・インフラ、エネルギー分野)を対象に、DXの取組みの強化を図ってきた」としている。
NTTは「中期経営計画『Your Value Partner 2025』で発表した通り、スマートな社会=Smart World実現への貢献をめざしている。その実現に向けた取組みの一つとして、お客様のDXをサポートするB2B2Xモデルの推進を戦略の柱の一つに位置付けており、サービス提供者のDXを通じたビジネスモデル変革、そこから創出される付加価値により、サービス利用者のライフスタイル変革、社会的課題の解決をサポートしてきた」としている。
三菱商事とNTTは「DXを追求してビジネスモデルを変革するという目的が合致し、今般、業務提携の合意に至った」としている。
今回の提携を通じ、両社の強みである産業知見とICT技術を相互に補完し、あらゆる産業に対し、DX促進に向けたソリューションを一貫して提供可能な「産業DXプラットフォーム」を構築し、産業のデジタル化と社会的課題解決をめざすという。両社は、三菱商事の国内外約1,500社の事業投資先、および10の営業グループの事業経営力とNTTグループの国内外900社を超えるグループ各社のケイパビリティを有機的に融合し、国内外のスタートアップや各産業の企業とも広くオープンに連携することで、産業構造変革を加速していく考えだ。
取組み概要
まずは、三菱商事が長年かけて事業を構築し、多くのノウハウが蓄積されている食品流通分野、産業素材流通分野を対象とする予定だという。両社は「食品流通分野においては、DXを必要とする多くの業務プロセスが存在しており、試算によれば、その規模は年間4兆円以上に上る」としている。そこで、食品流通各社と連携し、食品小売・メーカー・卸間で分断されている情報や業務プロセスの統合を図ることで、食品バリューチェーン全体の無駄・重複を排除し効率的かつ最適化された食品流通の実現をめざしていくという。
三菱商事とNTTは「取組みにおける対象分野は順次拡大し、数千億円規模の事業を創造していきたい」との考えを示している。
HERE Technologies (HERE International B.V., 以下「HERE社」)への出資
更に、三菱商事とNTTは、位置情報サービス(ロケーションインテリジェンス)分野でグローバルサービスプロバイダーであるHERE社(本社オランダ)への共同出資を進めることで合意した。三菱商事とNTTは在蘭持株会社(出資比率50%:50%)を新設の上、同社を通じてHERE社の3割の株式を取得する予定だという。同件の完了は、関係規制当局からの承認等を前提としており、今後必要な手続きを進めるとしている。
三菱商事とNTTは今後、様々な分野で業務提携を検討していく。
HERE社は、カーナビゲーションや自動運転車向けの位置情報システムや高精度地図を提供する一方で、近年は、非自動車産業向け事業の強化をめざし、保有する高精度地図および位置データを基盤としながら、物流や交通情報/ルート案内等のサービス起点でのソリューション提供力を強化してきた。HERE社のソリューションは「産業DXプラットフォーム」の中核技術の候補の1つとなり、日本および成長著しいAPAC市場における更なる事業拡大をめざしていくという。
三菱商事とNTTは「多様な産業における両社の事業基盤・顧客基盤・技術基盤等を活用しながら、HERE社の提供サービス拡充とイノベーションをより一層加速させ、付加価値の高いサービスを幅広い産業のお客様に対して提供していく」としている。