THK、ドコモ、シスコ、CTCの4社、製造業におけるIoTサービス「OMNIedge」の正式受注を開始
DX/IoT/AI 無料第一弾として、LMガイドに対応
THK、NTTドコモ(以下、ドコモ)、シスコシステムズ (以下、シスコ)、伊藤忠テクノソリューションズ(以下、CTC)は12月10日、2018年10月に発表した製造業向けIoTサービス「OMNIedge」(オムニエッジ)の正式受注を2019年12月18日、出荷を2020年1月末から開始すると発表した。
また、「OMNIedge」対応第二弾として、ボールねじの対応を予定しており、2019年12月18日より、試験導入を希望する50社を対象とした無償トライアルの募集を開始するという。
「OMNIedge」は、2018年10月からの無償トライアル募集に際して、100社を超える企業より申し込みがあった。トライアルでは、さまざまな業界の企業51社の協力により、実際の装置環境下でデータ収集、解析が行われた。トライアルを通じて、多くの企業から好評だったことから「OMNIedge」の商用化に至ったという。また、このトライアルに協力した企業のうち、すでに37社と有償化・本格運用について打ち合わせが進んでいるという。
4社の強みが連携することで誕生した「OMNIedge」
「OMNIedge」は、「THK SENSING SYSTEM」に加えて、シスコのエッジコンピューティングルータ、NTTドコモのLTE通信、CTCのIoTシステムの構築・運用ノウハウを掛け合わせて構成されている。NTTドコモの信頼性の高い通信回線、ネットワーク業界のリーダーであるシスコによる堅牢なネットワークデザイン、CTCの大規模インフラの提供で培った技術力、という各社の強みを集結させた信頼性の高いシステム構成を実現した。大事なデータを安心運用できる上記システムに加えて、クラウドを使用することで、インフラ構築のコストおよび保守維持費用の低減が可能であり、月額8,000円より導入することが可能だ。
「OMNIedge」は、数値化したデータをWeb上でモニタできるだけでなく、設定した閾値を超えた場合は、アラートメールを発報することもできる。
製造業が抱える課題
IoT全盛の昨今、簡単に設定や設置ができ、費用対効果を実感できるシステムを導入したいという声が多く存在する。また、データ収集を始めてみたが処理や解析の方法が難しいため、パッケージで提供してほしいという要望もある。加えて、国内の製造業では、製造装置の保守点検作業において、熟練した作業員の感覚に依存している状況もある中、THKはソリューションを考え、サービス提供を通して、国内製造業が抱える課題解決に取り組んだ。
THKだから提供できるセンシングシステム
THKは、機械要素部品にセンサを装着し、収集したデータを数値化、状態を可視化できるセンシングシステムを提供している。これにより、LMガイドの破損や潤滑状態、ボールねじの予圧、ガタの状態を検知することが可能となる。これを「THK SENSING SYSTEM(TSS)」と呼び、専用開発したセンサとアンプ、LMガイドのトップシェアメーカーとして蓄積してきた膨大なデータベースを活用したアルゴリズムを確立した。
従来、現場の作業員の感覚で確認判断していたものを数値化することで、計画的なメンテナンスを可能とし、担当者の経験やスキルを問わず保全の効率化を実現するとともに、予備在庫の管理コストを削減できる。さらに、これまでの時間管理から状態管理に移行することで、交換時期を適正化して設備稼働率を高め、全体の生産効率を向上させることができる。また、既に製造現場で稼働している設備にも装着できるよう、後付けが簡単にできる設計になっている。
今後は、このセンシングシステムをボールねじや他部品へも展開し、装置から取得できるデータとの連携なども視野に入れているという。
4社は「今後も本サービスを通して、製造現場の持続的な生産性向上に貢献していく」としている。
「OMNIedge」概要
「OMNIedge」とは、「THK SENSING SYSTEM」を活用して取得したデータを、シスコのエッジコンピューティングルータ、NTTドコモのLTE回線を通じて、機械要素部品の状態を数値化し、解析することで予兆検知ができるシステム。
初期投資費用を抑えられるようサブスクリプション型の料金体系であり、かつセンサ、アンプ、ルータ、SIMカードをワンストップで提供し、導入が簡単にできるように設計されているパッケージ型サービスとなる。