国内初、ケーブルテレビを活用したオンライン診療の実証実験を福岡と東京で開始【J:COM】
映像伝送/CATV 無料オンライン診療サービス「curon」「YaDoc」と連携
ジュピターテレコム(以下、J:COM)は8月2日、2019年9月より、家庭のテレビを活用した遠隔医療の実証実験を福岡市、東京都足立区、葛飾区、練馬区で実施すると発表した。
J:COMが開発し患者に提供する遠隔医療システムと、オンライン診療サービス事業者であるインテグリティ・ヘルスケアとMICINが医療機関に提供するシステムを連携させ、テレビ画面での高齢者向け遠隔医療の有用性を検証する。今回のような、ケーブルテレビのインフラを使用し、患者の家庭のテレビ画面でオンライン診療を検証する実証実験は、国内で初めての取り組みとなる。
J:COMは「約551万世帯が加入するケーブルテレビのインフラを活用して、オンライン診療や健康相談、バイタルデータ管理などを含む総合ヘルスケアサービスの提供を検討し、2021年度の商用化を目指す。将来、J:COM 71局の地域拠点において、スタッフがシステム導入やご利用のサポートを行うことにより、高血圧や糖尿病などの慢性疾患を抱える患者様が、ご家庭でICT機器を使用して健康を管理し、医療機関や薬局へ簡単にアクセスできる仕組みを構築していく予定だ」としている。
背景
日本は超高齢化社会を迎え、慢性疾患患者の増加や医師の地域偏在、介護負担の増加など、社会的課題が深刻になってる。医療へのアクセスと在宅医療のクオリティを向上させるために、ICTを活用した遠隔医療への期待が高まる中、2018年4月にはオンライン診療に関する診療報酬が新設された。また、主なデバイスがスマートフォンである一方で、スマートフォンの操作に不慣れな高齢者も多いため、利用できるデバイスを増やすことやサポート体制の構築が急がれている。
実証実験概要
今回の実証実験では、J:COMが開発する遠隔医療システム(オンライン診療アプリ)と、国内主要オンライン診療サービスであるインテグリティ・ヘルスケアの「YaDoc (ヤ―ドック)」およびMICINの「curon(クロン)」をシステム連携させる。その上で、慢性疾患を抱える60歳以上の患者を対象に、患者宅のテレビ画面上でのビデオ通話による診察や服薬指導、医療機関の予約や問診などを行う。また、地域密着を経営方針とするケーブルテレビ事業者としての実績とノウハウを生かし、J:COMスタッフが患者宅を訪問し、機器設置や初期設定、操作説明などにおいて、ご利用を継続的にサポートする。J:COMは「本実証実験は、厚生労働省の『オンライン診療の適切な実施に関する指針』に基づき、通信の暗号化を実施し高いセキュリティのもとで運用する」としている。
福岡市で行われる実証実験については、福岡市、九州大学、独立行政法人都市再生機構、福岡地域戦略推進協議会で構成されるコンソーシアムが主催の「Smart East PoC Program」(最先端技術や革新的なビジネスモデルなどの導入により、未来に誇れる都市を創造していくためのプログラム)に採択されたという。