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OKIと前田建設、光ファイバの計測高速化により橋梁モニタリングの適用範囲を拡大

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ワンストップで橋梁のライフサイクル全般のモニタリングに対応

 沖電気工業(以下、OKI)と前田建設工業(以下、前田建設)は2月12日、OKI独自の光ファイバセンシング技術(SDH-BOTDR方式)の計測高速化により、ワンストップで鉄筋コンクリート橋梁のライフサイクル全般にわたり適用することが可能なモニタリング技術を開発したと発表した。前田建設の進めるインフラ維持管理の効率化実現を目指し、両社では、同技術を用いた実環境での実証実験を2019年上期に開始する予定だという。
 鉄筋コンクリート橋梁のモニタリングにおいては、ひび割れ発生箇所の検知、剛性低下やクリープによる振動状態やたわみ量の把握などが必要だが、経年劣化の過程において着目すべきモニタリングの指標が異なってくるため、一つのモニタリング技術ではすべての指標に対応することができず、指標ごとに適したモニタリング技術を選定・適用する必要があった。
 これに対し、前田建設は独自のノウハウをもとにモニタリングシステムを組み込んだインフラ運営フローを設計し、OKIは独自の光ファイバセンシング技術を用いて、高い計測精度を維持しつつ高頻度なデータ取得を実現した。これらにより、インフラのライフサイクルのなかで発生するさまざまな種類の劣化に対するモニタリングにおいて、一般的にインフラの耐用年数とされる50年ほどの長期にわたる対応を1種類の計測器だけで実現し、トータルコストも大幅に削減される。
 両社は現在、前田建設の保有する実験施設において、接着材料の促進耐候性試験により長期的な接着性能を確認するとともに、光ファイバを設置した鉄筋コンクリート試験体に対する疲労載荷試験により鉄筋コンクリートの挙動に対する計測性能の検証を行っている。
 この検証結果を踏まえ、2019年度に供用路線の実橋に光ファイバを設置し、実環境でのデータ取得を開始する予定だという。OKIと前田建設は「本技術の効果が実証されることによって、橋梁の劣化予測精度が向上し、最適なタイミングで修繕工事を行うことが可能になる」としている。
 各社の取組みは次の通り。

前田建設:合理的なインフラ維持管理の実現に向けた取り組み
 各種インフラ施設の維持管理に対して、点検業務の効率化・高度化に加え、劣化予測による合理的な修繕の実施に取り組んでいる。

OKI:光ファイバセンシング技術
 通信市場で長年取り組んできた高速光通信技術を活かした独自の技術「SDH-BOTDR方式」(特許取得済)により、従来のBOTDR方式では数十分かかっていた測定を1秒以内に短縮している。これにより、光ファイバをセンシングデバイスとして活用するメリットを損なわずに、広い測定範囲における温度・歪みのリアルタイムセンシングを実現した。また、内蔵した測定ソフトウェアにより、現場での時間や距離において温度・歪み変化の可視化や、センサーの測定範囲および、測定結果に応じた設定変更も可能だ。

光ファイバーセンサ 測定アルゴリズム

実橋梁下への光ファイバ取り付けイメージ