テレフォニカとファーウェイ、高信頼低遅延通信(URLLC)支援運転に向けた世界初となる5G-V2XのPoC試験を完了
モバイル/無線 無料 ファーウェイとテレフォニカは2月6日、スペイン・マドリードの5G共同イノベーションラボにおいて、5Gベースの車両通信ネットワーク(5G-V2X)の世界初となる概念実証(PoC)テストを実施し、新たなマイルストーンを達成したことを発表した(ファーウェイ・ジャパンによるニュースリリースは2月7日)。これは、両社が2017年に完了した5G UCNC(User Centric and No Cell))のトライアルに続き、5G商用化の促進と5Gエコシステムの拡大に向けた確かな一歩となる。
5G-V2Xは、5Gのイノベーションが実現する最も重要かつ最初の垂直産業向けアプリケーションとして広く認識されている。今回の5G-V2Xテクノロジーの試験は、2017年12月22日に策定が完了した最新の3GPP NR(New Radio)規格に基づいて実施された。最先端の5G-V2Xサービスの代表的なものには、隊列走行、拡張センサ、高度運転、遠隔運転などがある。自動運転の実現には、5G NRシステムのさらなる機能強化に加え、車車間通信を可能にする新たなNRサイドリンクも必要になる。
自動運転の実現には高信頼性と高速応答性において厳しい要件が課せられるが、5G NRの高信頼低遅延通信(URLLC)モードは低遅延と高信頼性を要するサービスに柔軟に対応できる設計になっている。今回のPoC試験では、URLLCがシステム容量の増大とカバレッジの向上によってV2Xを効果的にサポートできることが証明された。今回の試験では、人口密度の高い都市部のほか、郊外、過疎地も含めた一般的な屋外マクロセル環境で、自動運転の実現に必要な1ミリ秒の低遅延と99.999%の信頼性を実現した。今回のPoC試験は、世界各地で今後予定されている5G無線ネットワークの商用展開に向けた大規模なフィールドトライアルの基礎となる。
今回の5G-V2XのPoCでは、路車間および車車間の双方において、無線通信の新たな自己完結型フレーム構造が使用された。これにより、通信時のフィードバックが大幅に高速化され、きわめて低遅延での通信を実現する。NRシステムフレームワークは柔軟性が高く、Polar符号によるV2Xスモールパケットエラー補正、最適化されたHARQ(Hybrid Automatic Repeat Request)処理による伝送時の信頼性向上、非アクティブ状態(Inactive State)による車両制御時のショートパケット即時送信など、いくつかの高度な機能に対応している。また、さらなるパフォーマンス向上に向け、もう1つの主要技術であるSCMA(Sparse Coded Multiple Access)ベースの割当不要な接続(Grant Free Access)の試験も実施した。この技術は、アップリンクのアクセス処理を簡素化して通信時の遅延を大幅に短縮することを目指したものだ。
テレフォニカとファーウェイの5G共同イノベーションラボで実施された今回のPoCでは、高度なV2Xサービスの典型的なテストケースとして車両の隊列走行を実施し、隊列を構成する車両を5G NRネットワークで制御した。その結果、往復の遅延時間が1ミリ秒という制約下で99.999%の信頼性を達成できることに加え、シグナリングのオーバーヘッドが最先端のセルラーシステムと比較して67%削減できることが証明された。
テレフォニカ グローバルCTIOのエンリケ・ブランコ(Enrique Blanco)氏は「テレフォニカとファーウェイが今回実施したPoCは、5G商用化および完全につながった社会の実現に向けた新たな一歩だ。私たちは5Gの主要テクノロジーの検証を通じて協業を強化していく。これにより、多くの新たなユースケースを開発し、お客様に提供できるようになるだろう」とコメントを出している。
ファーウェイフェローであり、ワイヤレスネットワーク部門CTOの童文(トン・ウェン)氏は「当社は5Gテクノロジーにおいてテレフォニカとの協業を強化できることを光栄に思う。5G-V2XのPoCは、5G商用化への道を切り開くさらなる共同での取り組みであり、協調型自動運転の実現という5Gのビジョンを体現するための強固な基盤となる」とコメントを出している。