IoT・AI技術を活用したデータセンタにおけるエネルギー効率化の実証実験を開始
データセンタ/LAN 無料データセンタビジネスの競争力強化と環境負荷低減の実現
NTTデータと、NTTファシリティーズ、インテル、Future Facilitiesは10月25日、NTTデータ所有の都内データセンタにおいて、空調設備の省エネルギー化と運用高度化を目指した実証実験を開始したことを発表した。
同実証実験で得られた成果は、現在、NTTデータが建設中の国内最大級規模かつ最新鋭設備の「NTTDATA三鷹データセンタEAST」へ展開するとともに、同社が提供するADVANCED OUTSOURCINGサービスの拡大を図るという。
背景
近年、クラウドサービスの進展やビックデータ、IoT、人工知能等の利用拡大により、データセンタの消費エネルギーが急増しており、CO2排出量の削減や省エネルギー化の必要性が高まっている。
これまでのデータセンタでは、システム運用などのICT機器の領域と、電源や空調などの設備(ファシリティ)の領域がそれぞれ独立して個別に最適な保守・運用を実施しているため、データセンタ内のエアフロー阻害などに伴うホットスポット(熱溜り)の発生や過冷却によるエネルギー消費量の増加など非効率な運用となっている例が少なくない。
これらの課題解決のため、今回の実証実験ではデータセンタの空調運転制御に着目し、ICT機器から設備までを含めた連携制御による全体最適化を実現することで、品質向上やコスト低減(エネルギー・運用コスト)を図り、データセンタビジネスの競争力強化と環境負荷低減を目指すという。
各社の役割と技術
NTTデータ
自社データセンタにおいて、各社のソリューションを活用しながら実証実験環境を構築し、長年にわたる自社データセンタの構築運用経験で得られたファシリティとIT運用の知見・ノウハウを各社に提供し、本実証実験のプロジェクトマネジメントを実施する。(実証実験の環境構築)
- ICT機器の環境情報:インテル Xeon プロセッサ搭載サーバが実装されたICT機器とインテル データセンター・マネージャーを活用
- 空調機の最適運転制御:NTTファシリティーズ提供のSmartDASHを活用
- 3次元熱・気流解析シミュレーション:FutureFacilities提供の6sigmaDCXを活用
NTTファシリティーズ
長年にわたるデータセンタの空調設備構築、運用に関する知見、ノウハウを提供します。またAI技術によりデータセンタ空調機の最適制御を行うSmartDASHをインテル データセンター・マネージャーと連携し、空調制御の実用化について検証する。
インテル
マルチベンダー環境下でリアルタイムにICT機器の消費電力および温度データを収集可能な、インテル データセンター・マネージャーSDKの提供と、それに伴うインテル Xeonプロセッサー・ファミリーで利用可能なインテル ノード・マネージャーを含むテクニカルサポートを提供します。インテル データセンター・マネージャーの活用によって、従来の温度センサーや電力測定機器ではなし得なかった多くのデータをICT機器からリアルタイムに把握可能とします。これにより高度な空調制御の実現を目指し、検証に携わります。
Future Facilities
データセンタの温熱環境をシミュレーションする、3次元熱・気流解析技術を活用した、データセンタ運用ソリューションである、6sigmaDCXを提供する。
今後について
NTTデータおよび各社は、データセンタにおけるITシステム領域と設備(ファシリティ)領域の運用管理の連携による全体最適化に加え、設備領域においてIoT技術を活用した故障予知や気象情報等のビックデータと連携した運転制御などの検討も行い、データセンタの完全運用自動化に向けた取組みを推進していく。
※NTTDATA三鷹データセンターEAST
NTTデータは、東京都三鷹市に延床面積約38,000㎡、最大収容ラック数5,600ラック、最大受電容量40,000kVAの国内最大級のデータセンタを建設中で、2018年4月に提供を開始する予定だ。同社は「首都直下型地震にも対応した最新鋭の免震設備を採用し、とう道に直結、さらには72時間無給油連続運転可能な非常用発電設備を有するなど、公共系・金融系のシステムや、大手企業の基幹系システムなどに求められる高い信頼性や可用性を有するNTTデータのフラッグシップ・データセンタだ」としている。