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ケーブルテレビ富山と住友電工、 IP マルチキャスト放送の実証実験を実施

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 ケーブルテレビ富山(以下、CTT)と住友電気工業(以下、住友電工)は7月19日、2017年3月に共同でIPマルチキャスト放送の実証実験を行ったことを発表した。

 近年、国内ケーブルテレビ業界は米国同様、サービスのオールIP化に向けて動き出しており、放送サービスもRF放送からIPマルチキャスト放送への移行が検討されている。そこで、CTTと住友電工は、ケーブルテレビ事業者のFTTH網におけるIPマルチキャスト放送の実証実験を共同で行い、商用サービスに向けた取り組みにつなげていくとしている。

実証実験の概要

時期:
2017年3月

目的:

  • CTTの既設FTTH設備において2K/4KのIPマルチキャスト放送が可能であることの確認
  • 既存システムやサービスへの影響がないことの確認
  • 商用サービスに向けた技術課題の抽出・整理

内容:
 CTTが構築した既設FTTH設備をシミュレートした環境において、住友電工が新たに納入したIPマルチキャスト送出サーバ、IP-STB「ST4173」等を利用。IPマルチキャスト送出サーバから幹線系設備に向けて、CTTが制作した20~35MbpsのHEVC符号でファイルエンコードしたCTT制作の4K番組4本と、2Kにダウンコンバート(HEVC 7Mbps)した番組1本の計5本を送出。

システム構成図

実証実験の成果

既設FTTH設備でIPマルチキャスト放送の伝送は可能

 既設設備においてIPマルチキャスト放送の伝送は可能で、Layer3スイッチやLayer2スイッチ、G-EPON OLTの幹線系に課題がないことを確認した。

CTTの既存システムやサービスに影響がないことを確認

 IPマルチキャスト送出時において、ネットワーク上の経路制御や優先制御等は確実に実行され、CTTの既存システムに加え、IP電話やインターネット回線等の既存サービスに影響がないことを確認した。

宅内環境における課題

 加入者宅内のルータとIP-STB間をLANケーブルで接続した場合は安定したIPマルチキャスト放送を視聴できた。なお、ルータとIP-STB間を無線LANで接続すると映像が安定しない場合があった。
 現段階では宅内におけるマルチキャスト伝送は有線LANが現実的だが、一般家庭ではLAN配線が各部屋に敷設されていないため、宅内の現実的で安定した伝送方法の確立が必要だ。また、市販品のブロードバンドルータは、ケーブルテレビ市場向けIPマルチキャスト制御に対応している機種が限られている。

今後の展開

 既存番組や高度BS放送等をIPマルチキャストで送出するとデータ量が1Gbpsを超えることが想定されるため、既設FTTH設備では回線容量が不足する。さらに、既存インターネットサービスの高速化、ストリーミングサービス等、将来の新たなサービス展開を考慮すると、FTTH設備の1Gbpsから10Gbpsへの広帯域化が必要となる。このため、両社は10G-EPONのトライアルを年内に実施することを計画している。
 また、住友電工は、IPマルチキャスト放送の実現に必要な機器を準備し、センターから宅内端末までトータルに提供すべく支援を行っていきます。

※ケーブルテレビとIPマルチキャスト放送について

 日本ケーブルラボは、平成28年4月26日に開催したオールIPマイグレーションワークショップにおいて、「2025年までにケーブルテレビの全てのサービスをIPに統合する」というグランドデザインを公表している。
 現在のケーブルテレビはRF(高周波)で多チャンネルの放送サービスを提供しているが、4K/8K放送が今後増加した場合RF放送の空き帯域の不足が懸念されること等から、RF放送からIPマルチキャスト放送への移行が検討されている。また、IPマルチキャスト放送は、スマートフォンやタブレット等への映像配信サービスに柔軟に対応できる点でメリットがある。

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