Nokiaは2月26日(エスポー)、センサーフュージョン技術を活用して産業企業にAIを活用したコンテクスト・アウェアネスを提供する新しいソリューション、MX Contextを発表した。

　産業現場向けのNokia Edge ComputeおよびAI プラットフォームに統合された MX Context は、様々なソースからの大量のデータを処理し、リアルタイムで実用的な洞察とインテリジェントな自動化を提供して、運用の卓越性を実現し、意思決定を強化する。
　Nokiaは「MX Contextは、状況認識とコンテクスト・アウェアネスを提供する市場で唯一のソリューションだ」としている。

　MarketsandMarketsの市場調査レポートでは、世界のセンサーフュージョン市場は年平均成長率 (CAGR) 17.8% で成長し、2028 年までに180億米ドルに達すると予測を出している。これは、データを統合し、効率、安全性、自動化を強化するための豊富な洞察を提供するソリューションに対する組織間の需要が高まっていることを裏付けている。

　運用技術 (OT) 環境では、機械センサー、測位システム、作業員が装着するデバイスから膨大な量のデータが生成される。プライベート ワイヤレスを使用してこれらの資産を接続すると、業界はリアルタイムのデータと運用上の洞察を得ることができる。
　ただし、現代のOT環境の複雑さが増すと、多くの場合、データ サイロが作成され、企業のコンテキスト認識が制限される。
　そこでNokia MX Context を使用すると、産業企業はセンサー データを簡単に取り込み、調和させ、融合して、リアルタイムで実用的な洞察を得て、運用を改善できる。

　Nokia MX Contextは、センサー フュージョン テクノロジーを活用して、様々なソースからのマルチモーダル データを組み合わせ、Industry 4.0のユース ケース向けにリアルタイムのAIを活用した洞察を提供する。処理にはNokiaのオンプレミス エッジ産業用コンピューティング ソリューションであるMXIEとMX Gridを使用し、履歴分析用の構造化データと非構造化データを保存し、API経由でアプリケーション データにアクセスするためにMXIE Data Lakeを使用する。

　ABI Researchのシニア リサーチ ディレクターであるRyan Martin氏は「センサー フュージョンとAIは、ロボット工学、自律作業セル、人間と機械が関与する共同シナリオにわたるコア産業オートメーション アプリケーションにとって重要な機能だ」とし、「プライベート ワイヤレスとオンプレミスの産業用エッジ コンピューティングを備えたNokiaは、労働者の安全、追跡、位置特定に関する重要なユース ケースを提供し、AI の洞察力を産業のデジタル化に活かすのに絶好の位置にいる」とコメントを出している。

　Nokiaのエンタープライズ キャンパス エッジ ソリューション、クラウド＆ネットワーク サービス担当ヴァイスプレジデントであるStephan Litjens氏は「AI は、Industry 4.0トランスフォーメーションの戦略的要素になりつつある。Nokia のオンプレミス コンピューティング機能は、OTに準拠し、産業ユース ケースに必要なコンテキスト認識をもたらす革新的な AI ソリューションを提供する。Nokia MX Context は、センサーとセンシング テクノロジーからのリアルタイム データを調和させる。データドリブンの運用上の卓越性を次のレベルに引き上げ、データをコンテキスト認識情報に変換し、実用的な洞察とインテリジェントな自動化として使用できる」とコメントを出している。

　MX Contextは、ローコードのビジュアル開発機能も提供しているため、ユーザは最小限のコーディング スキルで論理ワークフローを迅速に作成し、ダッシュボードを設計できる。これは、接続された作業者との自然言語ベースの対話を可能にする強力な生成AI アシスタントである Nokia MX Workmate とシームレスに統合される。

　MX Context スイートはモジュール式で、ユースケース ベースのコンテキスト認識ソリューションを作成するために構築されている。最初の2つの MX Context スイートと関連するユーザ アプリケーションは、追跡と測位、および作業者の安全性だ。

追跡と測位：MX Context は、Bluetooth Angle-of-Arrival (Nokia HAIP)、ビデオ ベースの測位 (Nokia VPOD)、作業者のデバイスの GPS、その他の MXIE サードパーティ追跡テクノロジー(HERE HD GNSS や Nordic ID など) など、様々な追跡および測位テクノロジーからデータを取り込み、融合できる業界初のソリューションだ。より正確で信頼性の高い測位を提供し、混合産業環境全体で追跡の継続性を確保して、資産利用、在庫管理、プロセス、および材料フローを最適化する。

作業者の安全：MX Contextは、Nokia VPOD、デバイス センサー (ジャイロスコープ、加速度計、マイクなど)、サードパーティ アプリケーションなどの Nokia センサー ソリューションからさまざまな種類のデータを取り込み、融合する。リアルタイム データのAIベースの処理と融合により、初めて状況認識とコンテキスト情報が提供され、潜在的な事故やインシデントの検出が可能になり、アラートのトリガー、緊急サービスへの通知、作業者へのリアルタイム ガイダンスの提供など、最適な対応が可能になる。

　Nokiaは「産業労働者のハンドヘルドの内部センサーを活用できるMX Context センサー ソリューションの一環として、マルチセンサー機能 (加速度計、ジャイロスコープ、電圧計、環境センサーなど) を備えた新しいバリエーションで産業用ルータのポートフォリオを補完する。これらのルータは、機械の洞察を強化できるほか、高度なGNSS チップを使用して屋外での測位精度を高める」としている。