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Broadcomが、スケーラブルなAIシステム向けに、業界初の51.2 Tbps CPOイーサネットスイッチ プラットフォームを提供。光インターコネクトの電力効率を70%改善

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 Broadcomは3月14日(カリフォルニア州パロアルト)、業界初の51.2TbpsのCo-Packaged Optics (CPO)イーサネットスイッチであるBaillyを顧客に提供したことを発表した。

 Broadcomは「この製品は、8つのシリコンフォトニクス ベースの6.4Tbps光エンジンと、Broadcomのクラス最高のStrataXGS Tomahawk5スイッチ チップを統合している。Baillyは、標準的なプラガブル光トランシーバ ソリューションと比較して、光インターコネクトを70%低い消費電力で動作させる。また、シリコン面積の効率が8倍向上した」と説明している。

 光インターコネクトは、大規模な生成AIクラスタのフロントエンド ネットワークとバックエンド ネットワークの両方にとって重要だ。現在、プラガブル光トランシーバはシステム電力の約50%を消費し、従来のスイッチ システムのコストの50%以上を占めている。
 新世代のGPUに対する帯域幅要件の増大と、AIクラスタの規模拡大が相まって、ディスクリート ソリューションを超えた、破壊的な電力効率とコスト効率の光インターコネクトが必要とされている。このニーズに対し、Broadcomは「当社のCPOおよびシリコン フォトニクス テクノロジ プラットフォームは、高度な統合により、最小のレイテンシ、最高の帯域幅密度、最小の電力、および最小のコストのソリューションを提供する。これは、大規模で電力効率の高いAIクラスタの構築に役立つ」と説明している。

 Baillyは、数百の光学部品と数億個のトランジスタを1つの光学エンジンに統合している。高度な集積化により、複雑なロジックASICを備えた共通基板上に光学エンジンを配置できるため、シグナル コンディショニング回路の必要性が最小限に抑えられる。これにより、この光インターコネクトは、プラガブル光トランシーバと比較して70%低い消費電力で動作できる。Baillyの大量生産は、実績のあるCMOSファウンドリ プロセス、高度なパッケージング技術、高度に自動化された高密度エッジ結合ファイバ接続機能を利用したBroadcomの革新的な製造アプローチによって可能になったという。
 Broadcom は、クラウド サービスプロバイダ (CSP) やシステム インテグレータと共同でプラットフォームを設計し、CPOプラットフォームの導入を加速させている。Broadcom は、Bailly 51.2T CPO システムをOFC 2024(エキシビション3月26日〜28日:サンディエゴ)で展示する予定だ。

 Broadcomの光学システム部門ヴァイスプレジデント 兼 ゼネラルマネージャーであるNear Margalit博士は「AIクラスタが、より高い帯域幅密度、低消費電力、低遅延を必要としている中で、業界初の51.2Tbps CPOスイッチの提供を発表できることを嬉しく思っている」とし、「Baillyは、ハイパースケーラーが低消費電力でコスト効率の高い大規模なAIおよびコンピューティング クラスタを展開できるようにする。Broadcomのテクノロジ リーダーシップと製造イノベーションにより、Baillyは電力効率を70%向上させ、AIインフラストラクチャの将来の帯域幅と電力のニーズに沿った光 I/Oロードマップを確実に実現できる」とコメントを出している。

 Dell’Oro GroupのヴァイスプレジデントであるSameh Boujelbene氏は「プラガブル光ファイバは、システムレベルでの消費電力に占める割合がますます大きくなり、51.2Tbps以上になるとスイッチシステムの電力の50%を超えるようになると予想されている。クラウド サービスプロバイダが次世代のAIネットワークを構築し、高速化を推進し続けるにことに比例し、この問題はさらに悪化するだろう」としており、「AIインフラへの多額の投資により、BroadcomのCo-Packaged OpticsプラットフォームBaillyなどの革新的な光接続ソリューションの開発が加速しており、コストと消費電力のハードルを解決しながらAIクラスタの需要を満たす取り組みが進んでいる」とコメントを出している。

 ByteDanceのネットワークシステム責任者であるFeng Luo氏は「光インターコネクトのイノベーションは、次世代のAIネットワークにとって非常に重要になる。Broadcom のCo-Packaged Opticsモジュールの開発における継続的な進歩は、まさに現世代の光インターコネクトのコストと電力のボトルネックを克服するために業界が必要としているものだ」とコメントを出している。

 H3Cのスイッチ製品ライン ゼネラルマネージャーであるRichard Li氏は「SerDesの速度向上とともにシステム設計はより困難になっているが、銅線の物理的な制限を克服するためにシステムと光学系を再設計する必要が生じたのはごく最近のことだ」とし、「Broadcomとのパートナーシップにより、高集積のCo-Packaged Opticsを備えたシステムを設計することは、高密度システムにおけるプラガブル トランシーバの設計上の限界を克服するための大きな前進だ」とコメントを出している。

 Juniper Networksのデータセンタ製品担当GVP (Global Vice President)であるMansour Karam氏は「人工知能(AI)は、ネットワーキングが対処しなければならない一連の課題をもたらした。Broadcomと提携して、データセンタ全体にCo-Packaged Opticsモジュールを提供し、光インターコネクトのコスト、消費電力、帯域幅効率を改善できることを嬉しく思っている」とコメントを出している。

Micas NetworksのCTOであるGrant Lai氏は「AI/MLと高性能な大規模データセンターネットワークの要件を満たす必要があるため、システム設計はより困難になっている」とし、「Broadcomとのパートナーシップにより、高集積のCo-Packaged Opticsを備えたシステムを設計し、より電力効率の高い将来のネットワークを実現することができる。MicasがBroadcomと共同開発した 51.2 Tbpsスイッチは、データセンタの通信遅延と消費電力を削減し、より多くのAIパワーを解き放つ」とコメントを出している。

51.2 Tbps CPOスイッチ製品ハイライト
•Broadcom 51.2 Tbps StrataXGS Tomahawk5 スイッチ シリコン
•Broadcom 6.4T-FR4 Bailly SCIP光学エンジン(CPOシステム用のBroadcomファイバコネクタ搭載)
•高効率空冷を備えた4RUシステム設計。外部ファイバ結合は、128個のデュプレックスLC光コネクタを介した128ポートの400G FR4接続を提供
•CPOエンジンからフロントパネルへのルーティングは、従来のシングルモードファイバをサポート
•複数のリモートレーザーモジュール(RLM)をサポートできる互換性のあるシステム設計により、現場での交換が可能
•光インターコネクトの消費電力を70%以上削減(標準的なプラガブル光ソリューションと比較)

OFC 2024でのショーケース
 Broadcomは、次のCPO製品とテクノロジを展示する予定だ。
•Bailly 51.2T CPOイーサネットスイッチ システム
•6.4T光学エンジン(HBM、ロジック、PHY を含むマルチチップ モジュールとパッケージ化)

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