光通信、映像伝送ビジネスの実務者向け専門情報サイト

光通信ビジネスの実務者向け専門誌 - オプトコム

有料会員様向けコンテンツ

IECが、イリノイ州のデジタル・ディバイド解消でEricssonを選択

期間限定無料公開 有料

期間限定無料公開中

 Ericssonは4月5日、Illinois Electric Cooperative (IEC)が、イリノイ州パイク郡のルーラルエリアにおけるデジタル・ディバイド解消のため、Ericssonを選択したと発表した。

 Ericssonは「IECは、XtremeLTEとの戦略的パートナーシップを通じて当社を選択した。このプロジェクトには、CBRS (市民ブロードバンド無線サービス)スペクトルを介して配信されるFWA (固定無線アクセス)が含まれる」としており、「連邦通信委員会(FCC)のConnect America Fund Phase II(CAF-II)の一部であるこの新しいパートナーシップは、顧客の容量、カバレッジ、およびユーザ エクスペリエンスを向上させるIECの取り組みをサポートする。このプロジェクトは2021年第4四半期に展開された」と説明している。

 本件でIECは、パフォーマンス要件の厳しいCAF-IIのベースライン以上のパフォーマンス層に大規模に準拠できるベンダを探した。広範な評価プロセスの後、IECはVantage Point Solutions(サードパーティの独立系エンジニアリング コンサルタント会社)を通じて、ペンシルベニア州ウェルズボロにあるXtreme LTEの施設でフィールドテストを実施。Ericsson FWA機器が最低100Mbpsのダウンリンクと20Mbpsのアップリンクを提供する能力を実証することに成功したという。
 Illinois Electric Cooperativeのネットワークオペレーション マネージャーであるMatt Haverfield氏は「IECは、ネットワーク環境が十分ではない地域での接続性とブロードバンドサービスの拡大に向けて大きな一歩を踏み出している」としており、「Xtreme LTEとのパートナーシップを通じてEricssonを選んだことで、優れたアップリンクとダウンリンクのパフォーマンスを備えたプライベートネットワークを構築し、リーズナブルな価格で信頼性が高く高品質の通信サービスを可能にするインフラストラクチャを構築できる」とコメントを出している。

 Vantage Point Solutionsのエンジニアリング スタッフであるJay Briscoe氏は「CAF-IIの性能要件は厳しいため、堅牢な評価プロセスはIECの長期的な成功に最も適していた」としており、「私たちのチームは、イリノイ州のルーラルエリアでのFWA展開でIECと協力して楽しんでおり、このプロセスはそのサポートの延長線上にあった。Vantage Point Solutionsは、EricssonとXtreme LTEの選出を祝福する」とコメントを出している。

 Xtreme LTEは新しい契約の下で、CBRSをサポートする将来性のある製品ライン、および以前はWi-Fi技術に依存していたEBS (教育放送サービス)およびプライベートLTE機能を含むEricsson無線システムを提供する。

 このパートナーシップにより、EricssonのAIR 6488 AAS (Advanced Antenna System)ソリューションは、イリノイ州の50以上の拠点にも導入される。AIR 6488 AASは、最新鋭のビームフォーミングと、既存および将来のモバイル ネットワークでの大規模な展開を促進するための強力なツールである Massive MIMO を可能にする。
 IECはこれらのソリューションにより、必要に応じて5G NRにアップグレードする機能を備え、大幅な性能向上を達成する。

 Ericsson North Americaのヴァイスプレジデント 兼 カスタマーユニット地域キャリア担当CTOであるBill Chotiner氏は「3.5GHz帯のCBRSは、プライベートLTEネットワークの構築と4Gおよび5Gサービス提供の改善に大きな意味を持つだろう」としており、「このパートナーシップにより、私たちは超高速ブロードバンドをアメリカのルーラル コミュニティに提供し続けることができる。IECのようなサービスプロバイダが、提供するサービスを拡大し、より多くのユースケースを立ち上げ、既存のサービスを保護しようとしている重要な時期に来ている」とコメントを出している。

 EricssonとXtreme LTEの戦略的パートナーシップは2019年10月に初めて発表され、WISPs (ワイヤレス インターネット サービス プロバイダ)と固定無線業界がEricssonのキャリアクラスのLTE機器を入手して展開するのをサポートすることに重点を置いている。
Xtreme LTEは「WISPsまたはFWAプロバイダが、より高速で、広域のカバレッジと容量でより多くの顧客にリーチできる、完全なエンド・ツー・エンドのブロードバンド展開を可能にするための基盤を構築する」との考えを示している。

 Xtreme LTEは現在、米国全土で40以上の固定ワイヤレスアクセスネットワークをサポートしている。Xtreme LTEを通じて、これらのネットワークは、ファイバを何年も待つのに比べて、数ヶ月または数週間でコミュニティにサービスを提供できる。同社は「イリノイ州のルーラルエリアでのCAF II固定無線ネットワークプロジェクトでIECをサポートすることを誇りに思い、興奮している。このプロジェクトは、インターネットへの即時アクセスを必要とするルーラル コミュニティに高速で信頼性の高いブロードバンドサービスを提供するという、Xtreme LTEの使命と完全に一致している」と説明する。

 Xtreme LTEのプレジデントであるDavid Tews氏は「Ericssonの技術と、ペンシルベニア州の倉庫から迅速に配送するXtreme LTEのユニークな能力の組み合わせにより、わずか30日間でキャリアグレードのネットワークを展開することができた。この迅速な展開ソリューションは、私たちのルーラル コミュニティが今日の高速インターネットの需要をサポートするのに役立つ」とコメントを出している。

編集部備考

  • Xtreme LTEは1月、Outer Reach Broadbandがメイン州のロングレイク沿いにおけるインターネットサービスの開始で、Xtreme LTE によるEricsson Massive-MIMOソリューションを採用したことを発表している。
    その際にXtremeLTEは「当社は、ファイバのようなスピードをアメリカのルーラルエリアにもたらすことでデジタル・ディバイドを根絶するというOuter Reachの使命を共有している。その導入にかかるコストと時間は、わずかだ」とコメントを出している。なお、2022年のOuter Reach Broadbandの計画では、このロングレイクのネットワーク展開を皮切りに、年間を通じてメイン州のルーラルエリアで複数の展開が予定されている。
  • Xtreme LTEは2月、Broadlincがケンタッキー州のルーラルエリアで新しい固定ワイヤレス アクセスネットワークを展開する際にXtreme LTEが採用されたと発表している。
    新しいネットワーク設計は、EricssonのMassive-MIMO 4G-LTE/5G技術を使用し、Broadlincが2020年にFCCのCBRSオークションを通じて取得した優先アクセスライセンスで動作する。これにより、FWAアプリケーションにおける干渉がこれまで以上に少なくなる。Xtreme LTEは「長距離 Wi-Fi 技術を使用し、容量制限と RF 干渉があった従来の FWA ネットワークによってサービスを提供する新規および既存の顧客を強化およびアップグレードできる」と説明している。
    また、発表の際にBroadlincは「中小企業の観点では、LTEは非常に敷居が高い可能性がある。そこで私たちは、今回のビジネスでXtreme LTEを選んだ。Xtreme LTEは、小規模なFWAオペレーターが世界中のセルキャリアで使用されているのと同じハードウェアとコアを展開できるようにするための経験とサポートを提供する」とコメントを出している。