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データセンタのエネルギー効率を高める【MIT】

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 フラッシュメモリシステムにすると、データセンタ「キャッシュ」のエネルギー消費は90%減少する。

 ほとんどの現代のWebサイトは、データをデータベースに蓄積している。またデータベースクエリは比較的遅いので、ほとんどのサイトはいわゆるキャッシュサーバを持っている。キャッシュサーバは、アクセスが高速になるように共通クエリ結果のリストを作っている。GoogleやFacebookのような大きなWebサービス用のデータセンタは、キャッシング専用に1000サーバを持っているかも知れない。

 キャッシュサーバは一般にRAMを利用する。これは速いが高価でパワーハングリーである。MITのコンピュータサイエンス&人工知能研究所(CSAIL)の研究者は、ほとんどのスマートフォンで使われているメモリ、フラッシュメモリを代わりに使うデータセンタキャッシングの新システムを発表した。

 メモリのギガバイト当たり、フラッシュはRAMの約5%のエネルギーを消費し、コストは約1/10である。また、それは約100倍のストレージ密度がある、つまりより多くのデータをもっと小さなスペースに詰め込むことができる。コストが安くなり、エネルギー消費が減るだけでなく、フラッシュキャッシングシステムは、データセンタが必要とするキャッシュサーバの数を劇的に減らすことができる。

 フラッシュの欠点は、RAMよりも著しく低速であること。フラッシュのアクセスタイムは、DRAMと比べると10000倍長い。

 しかし実情はDRAMと比べて遅いが、フラッシュのアクセスは、新しい感覚刺激に対する人の反応よりもはるかに速い。ユーザは、処理に0.0002秒かかるリクエストの違いを認識しない。これは、インターネットの典型的な往復時間である。フラッシュクエリでは、0.0004秒かかる。

 もっと重要なことは、データセンタにあふれるリクエストに遅れずについていくことである。CSAIL研究者のシステム、BlueCacheは、一般的なコンピュータサイエンス技術「パイプライン方式」を利用することで、それを行う。フラッシュベースのキャッシュサーバが最初のクエリの結果を返して届く前に、次の10000クエリの実行を始めることができる。最初のクエリは処理に200msかかるかもしれないが、続いて起こるクエリに対する応答は、0.2ms間隔で現れる。

 しかしパイプライン方式を利用しても研究チームは、フラッシュキャッシングをDRAMキャッシングと対抗させるために、巧妙なエンジニアリング手段をいくつか導入しなければならなかった。試験では、キャッシング用に設定されたデータセンタデータベースサーバにすぎないフラッシュベースのキャッシュサーバのデフォルト実装とBlueCacheとを比較した(DRAMと比べると遅いが、フラッシュは磁気ハードドライブよりも遥かに高速である、データセンタではフラッシュがほとんどHDに取って代わっている)。BlueCacheは、デフォルト実装と比較して4.2倍高速であった。

 研究チームの最初の策は、小さなDRAMを全てのBlueCacheフラッシュキャッシュに付けること。フラッシュの100万メガバイトにつき数メガバイトである。DRAMはテーブルを持っており、ここではデータベースクエリと、対応するクエリ結果のフラッシュメモリアドレスが組になっている。それはキャッシュルックアップを速くしないが、まだキャッシュにインポートされていないデータの特定、つまりキャッシュミスの検出を著しく効率的に行う。

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